フロイトに関して
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/07 04:48 UTC 版)
「エーリヒ・フロム」の記事における「フロイトに関して」の解説
フロムは『フロイトの使命』(1959年)や『フロイトを超えて』(1979年)などの著作でジークムント・フロイトの生涯に関する記述と彼の理論の批判的検討を行った。フロムによると、フロイトの欲動理論は第一次世界大戦を境目として二つに分けることができるという。大戦以前、フロイトは人間の欲動(drive)を欲望(desire)と抑圧(repression)の間に生じる緊張であると定義していたが、大戦以降のフロイトは人間の欲動をエロス(生の欲動)とタナトス(死の欲動)の葛藤であるとみなした。フロムはこの2つの理論の間に矛盾があることを看過してしまったフロイトとその理論の支持者を非難したのである。 また、フロムはフロイトの二元論的な思考も批判している。フロムによると、フロイト派は人間の意識を二項対立を用いて記述しており、それ故に捉え損なっているものがあるという。さらに、フロムはフロイトのミソジニーをも批判している。 批判すべき点を批判したうえで、フロムはフロイトの業績に対して深い敬意を表している。フロムはフロイトを「アルベルト・アインシュタインやカール・マルクスと並ぶ近代の創始者の一人である」と結論付けている(なお、フロムはフロイト以上にマルクスの重要性を強調している)。
※この「フロイトに関して」の解説は、「エーリヒ・フロム」の解説の一部です。
「フロイトに関して」を含む「エーリヒ・フロム」の記事については、「エーリヒ・フロム」の概要を参照ください。
- フロイトに関してのページへのリンク