フィルムエストTV
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/16 13:39 UTC 版)
フィルムエストTV | ||||||||
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人物 | ||||||||
国籍 | ![]() |
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YouTube | ||||||||
チャンネル | ||||||||
活動期間 | 2014年 - | |||||||
ジャンル | コメディ | |||||||
登録者数 | 約41.5万人 | |||||||
総再生回数 | 約7909万回 | |||||||
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チャンネル登録者数・総再生回数は 2025年7月13日時点。 |
フィルムエストTV(FilmestTV)は、日本のYouTuberグループである。
概要
2014年(平成26年)よりYouTubeに動画を公開している[1]。当初は、にしいを筆頭に「面白いことがしたい」という友人らによるグループで「バラエティ番組風」の動画を作成。「大学の単位を落としたので記者会見をやってみた」というニュース番組風の動画は、50万回超再生される[2]。2018年春以降は、グループメンバーがそれぞれ就職し動画を作る時間がとれなくなったことなどから、YouTubeの更新が止まっていた[2]。
新型コロナウイルスの感染拡大時、にしいが「テレワーク」の昭和風ロゴをTwitterで公開したところ”絶妙な古さ”が反響を呼んだことから、現代の現象を昭和テイストな映像で表現することを思いつき、現代のニュースとしても成立する映像を志向した[3]。「画の汚し方」と「当時っぽいフォント」、さらに「ステイ・ホーム」「ソーシャル・ディスタンス」のように、外来語には細かく中点(・)を挟むといった昭和時代特有の表現にディテールにもこだわっている[3]。「80年代風テレワークCM」の動画は、「テレワーク」という新しい概念[注 1]ながらも語感に懐かしさを覚えたことをきっかけに制作されたものだが、それに共感が拡がり、Twitterでは1.4万リツイート、2.8万いいねの反響を呼んだ[2]。YouTubeでは昭和のニュース・情報番組を模した動画を中心に50本以上公開されており、架空の放送局である神戸テレビ放送(KTC)で放送されたという体で、内容に応じて「リアルナイトかんさい」「2時です!ワイドスタジオ」「ナイト23」など、番組のテイストが変えられている[4]。また、動画が公開されると、実際に放送されたものではないにもかかわらず、「大阪の従兄弟の家で見ていた」等、如何にも実際に見ていたかのようなコメントが書き込まれることがある[5]。
2021年1月、昭和時代のテレビ番組やその再現を愛するMBS毎日放送アナウンサーの福島暢啓とコラボして、「『MBSニュースライン』タピオカ抜き注文殺到問題」の動画を作成し、MBSのトークライブで公開され[1]、YouTubeで100万回以上再生されている(2022年5月現在)。
2021年4月、ブラザー工業のエイプリルフール企画として「ビジネスインクジェット」「プリふれ模型店」のウェブCMを制作。以降もParamount+[注 2]や東北楽天ゴールデンイーグルス[注 3]、BESS[注 4]といった企業とのコラボ動画が公開されている。
2024年3月、フィルムエストTV10周年を記念してトークライブが大阪にて実施された。
2024年6月、北海道テレビのディレクターである嬉野雅道の提案で同局の人気番組である『水曜どうでしょう』の前身という設定の『水曜!いかがでしょう』が公開された[6][7]。1968年(昭和43年)に放送された番組という設定のため、映像はモノクロ、当時の時刻表も登場するなど、時代考証を忠実に再現し、SNS上で話題となった[7]。
友近サスペンス劇場
2023年6月に、友近とのコラボ作品「知りすぎた女」を公開した。これは、5回に分けて公開された長編作品である[8]。
この縁もあって、更に友近の提案により、1980年代の2時間サスペンスを再現した『友近サスペンス劇場』が制作されることになり、以後シリーズ化することになった。
第1弾『友近サスペンス劇場 外湯巡りミステリー・道後ストリップ嬢連続殺人』
友近の地元である愛媛県を舞台に、全国でも珍しいという外湯巡りが楽しめる道後温泉周辺で起きる連続殺人事件の謎に迫る内容。
2024年9月13日に公開され、1時間半以上におよぶ長時間の動画であるにもかかわらず、公開から1ヶ月程度で345万回再生されるなど[9]、話題となった[10]。友近演じる雑誌ライター「黛京子」と、同じ愛媛県出身の芝大輔(モグライダー)演じる相棒のカメラマン「奥野」が、松山市内にあるストリップ劇場でストリップ嬢が殺害され、その真相を追うというものである。動画内で放送されているCMは、愛媛県内に実在する企業が、こちらも1980年代風のCMを独自に製作し流している。
更にYouTube動画としては異例の反響を見せており、以下のような動きが発生した。
- 2024年11月8日には、地域を盛り上げた作品とその地域を顕彰する「第15回ロケーションジャパン大賞」に、YouTube作品として初めて、本作および今治市(伯方島が、犯人を追い詰める崖のシーンなどで使用)がノミネートされた[11]。そして2025年2月20日の授賞式にて、「審査員特別賞」の受賞が発表され、やはりYouTube作品として初の快挙となった[12]。授賞理由としては「昭和のサスペンスドラマのような演出がなつかしさと新しさを生み、多くの視聴者を魅了した点が評価された」としている。
- 2024年12月29日の14時~16時、BS朝日(後述する、にしいが勤務する会社と同じテレビ朝日系列)にて、この動画が放送された[13]。放映においては本当のCM枠を挟みながら、パロディCMを含めた全編がノーカットで放映された。
第2弾
『道後ストリップ嬢連続殺人』の好評を受け、第2弾の制作が決定された。2025年7月14日に、舞台は石川県七尾市で、同年10月撮影、2026年初頭公開予定であることが発表された[14][15]。『道後ストリップ嬢連続殺人』同様、黛京子(友近)と奥野(モグライダー芝)によるサスペンスとなる。
スピンオフ作品『崖』
2025年6月30日から、テレビ朝日とKDDIが共同展開するショートドラマアカウント【スキドラ】の企画として、友近サスペンス劇場の関連作品として『崖(がけ)』の配信が決定した[16]。全6回で、2時間サスペンスのラストの定番である、崖で犯人を追い詰めるシーンだけを1回につき10分だけやるというものである。友近は、『道後ストリップ嬢連続殺人』同様、雑誌ライターの黛京子として出演する。犯人役として、内藤剛志、船越英一郎といった、2時間サスペンスや刑事ドラマでは犯人とは真逆の立場(刑事など)での出演が多い俳優が起用されているのも特徴である。なお、この作品には奥野(モグライダー芝)は登場しない。
- 第1話「ユーモアが生んだ悲劇!! ダジャレ殺人事件」(2025年6月30日配信) - 犯人役:星野真里(藤永由美役)、被害者役:小手伸也(由美の夫の、藤永昭役)・外波山文明(馬場警部役[注 5])
- 第2話「無知が悲劇を呼ぶ!! アレの名前殺人事件」(2025年7月7日配信) - 犯人役:前原瑞樹(調理師の、国重洋一役)、被害者役:田渕正博(国重が働くレストランのオーナーシェフ、小鳥遊剛役)
- 第3話「扉に秘められた殺意!! 足挟むやつ殺人事件」(2025年7月14日配信) - 犯人役:内藤剛志(小山警部役)、被害者役:鬼倉龍大(葛城勉役)
メンバー
- 西井 紘輝(にしい ひろき)
- 1994年12月、兵庫県神戸市生まれ[2]。関西大学社会学部卒業[2]。本業はテレビ朝日映像社員である[2]。10歳から映像制作を始める。大学ではメディアについて学び、制作した映像をYouTubeやTwitterで公開していた[2]。作品の大半はナレーションも兼任しており、ピッチを変えることで声色も変えているのが特徴[3]。
- 生まれて1ヶ月の頃に、阪神・淡路大震災に遭っている。そのとき、西井の父親が被災状況などをホームビデオで撮影しており、その映像の一部が、震災から30年が経過した2025年1月17日に公開されている。
- テレビ朝日映像での本業は元々報道記者であったが、前述の『道後ストリップ嬢連続殺人』に携わっていた時期は1年間休職して対応した。その後報道記者は退任し、テレビ朝日映像の事業の1つとしてフィルムエストの活動を行っている[17]。
- 秋山 功輝(あきやま こうき)
- にしいの大学時代からの友人であり、リポーター役などで出演[3]。架空の情報番組「リアルナイトかんさい」シリーズ動画でも中継リポーター役として出演し、「秋ちゃん」の愛称で呼ばれている。
出演者
メンバーのにしいや秋山などに加え、前述のMBS福島アナなど、著名人が出演する作品も多数存在する。特に2024年以降の作品では、男性役で真山隼人、女性役で増田樹乃(玉川温泉所属の昭和風アイドル)[18]が多くの作品に出演している。
公開日 | 作品タイトル | 出演 |
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2021年1月30日 | MBSニュースライン「タピオカ抜き注文殺到問題」 | 福島暢啓(MBSアナウンサー) |
2023年6月9日〜17日 | 知りすぎた女シリーズ(全5回) | |
2023年9月10日 | コロナ時代の到来を完ペキに予見した映画があった | 松尾貴史 |
2023年9月29日 | 昭和の特撮ヒーロー「サラリーマン」予告編 | |
2024年5月4日 | バブル期の深夜シュールコント番組の雰囲気 | あぁ〜しらき |
2024年5月11日 | 時空を乱しまくる丸山礼 | |
2024年6月29日 | 水曜どうでしょうの元ネタ番組「水曜いかがでしょう」を発掘!? | |
2024年8月23日 | スポンジボブのニセ物「金たわし次郎」事件?(Paramount+とのコラボ) |
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2024年9月13日 | 友近さん&モグライダー芝さんと“あの頃”っぽいサスペンスドラマを撮ってみた |
ほか |
2024年9月16日 | 昭和の「プロ野球ニュース」に楽天が存在する世界線(東北楽天ゴールデンイーグルスとのコラボ[注 6]) | 銀次(楽天OB) |
2024年10月7日 | 旧車イベントを90年代風に阪田マリンがリポートする | 阪田マリン |
2024年12月6日 | 地面師たちに気をつけろ!(平成バブル期ver.) | 五頭岳夫 |
2024年12月16日 | 貸金庫の金はどこへ? 電話相談室 |
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2024年12月27日 | タイムスリップ先で仕方なく暮らすMBS前田アナ |
ほか |
2025年1月1日 | あぁ~しらきのネタ、昭和時代でも通用する説 |
ほか |
2025年2月6日 | 鈍川温泉が〝当時〟すぎて素晴らしかったのでコマーシャルフィルムを撮影しました |
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2025年2月7日 | 住宅展示場で暮らす家族を描いた連続ドラマ『展示場の家にて』(BESSとのコラボ) |
ほか |
2025年4月18日 | 【もしも】「未来のシャワーヘッド」が昭和の世界で発売されたら...(花王「ビオレ」とのコラボ) |
ほか |
2025年4月27日 | この中に有名人がいる |
ほか |
作品によっては、役名(別名義)での出演となっているケースもある。[注 7]
脚注
注釈
- ^ 情報通信技術を物理的な移動の代わりに活用する発想自体は1970年代から存在している(詳細についてはテレワークの記事を参照)し、SOHOという業務形態も古くから存在するため、一般人が聞き慣れていないだけで、専門家にとっては全く新しい概念というわけではない。
- ^ スポンジボブのニセ物「金たわし次郎」事件?
- ^ 昭和のプロ野球界に楽天があったら…、昭和の「プロ野球ニュース」に楽天が存在する世界線。楽天イーグルスの「昭和平成レトロ」イベントの㎝も兼ねている。
- ^ 住宅展示場で暮らす家族を描いた連続ドラマ『展示場の家にて』
- ^ 外波山は『道後ストリップ嬢連続殺人』でも、愛媛県警捜査一課の村上警部役として出演している。
- ^ 「昭和平成レトロ」イベントのCM
- ^ 友近が事件現場の隣人役「小野口清子」名義で登場したほか、西寄ひがしが昭和の大物司会者「大和田慶三郎」として出演するなど。丸山礼のように、本人名義で出演するケースもある。
出典
- ^ a b MBSアナウンサー・福島暢啓が、時代錯誤の“アナクロ映像”に迫る - BRUTUS 2022年5月22日閲覧
- ^ a b c d e f g 【昭和はパラレルワールドのような不思議なもの】昭和風の動画を制作する映像クリエイター・にしいさんインタビュー - Brother 2022年5月22日閲覧
- ^ a b c d 昭和テイスト動画で伝えるコロナ禍 「違和感」の狙いは - 朝日新聞デジタル 2022年5月22日閲覧
- ^ “フィルムエストTV - YouTube”. www.youtube.com. 2022年5月22日閲覧。
- ^ 「探偵!ナイトスクープ」のWikipediaに見る〝記憶違い〟と、それを補強する〝設定付け〟(2021年9月25日公開)2022年8月27日閲覧
- ^ “フィルムエストTV【公式】@FilmestTVのポスト”. X(旧・Twitter) (2024年6月29日). 2024年10月19日閲覧。
- ^ a b 正木利和 (2024年10月16日). “「水曜どうでしょう」サイコロ旅に元ネタあった? バズる昭和レトロな番組動画に本家絶賛”. 産経新聞. 2024年10月19日閲覧。
- ^ “これって友近!? 凝りに凝った「フィルムエストTV」の面白さ わざと画質を雑に加工するなど徹底したフェイクテイスト”. ZakZakpublisher=夕刊フジ (2023年6月14日). 2024年9月18日閲覧。
- ^ ラリー遠田 (2024年10月25日). “"昭和風ドラマ"が異例の345万回再生 「友近」サスペンス劇場がYouTubeで大バズリする理由”. デイリー新潮. 新潮社. 2024年10月31日閲覧。
- ^ “友近&モグライダー・芝大輔、往年の2時間サスペンス再現ドラマ 配信開始で話題 SNS「凄いこだわり」”. サンケイスポーツ (産経デジタル). (2024年9月14日) 2024年9月18日閲覧。
- ^ “友近さん企画のドラマ「道後ストリップ嬢連続殺人」が「ロケーションジャパン大賞」で審査員特別賞”. 愛媛朝日テレビ (2025年2月20日). 2025年2月20日閲覧。
- ^ “YouTubeで話題の「友近サスペンス劇場」 BS朝日で29日に放送決定”. スポニチアネックス. スポーツニッポン (2024年12月19日). 2024年12月19日閲覧。
- ^ “YouTubeで話題の「友近サスペンス劇場」 BS朝日で29日に放送決定”. スポニチアネックス. スポーツニッポン (2024年12月19日). 2024年12月19日閲覧。
- ^ @FilmestTV (14 July 2025). “【速報】『友近サスペンス劇場Ⅱ』”. X(旧Twitter)より2025年7月14日閲覧.
- ^ 「友近さん、七尾市でサスペンス動画撮影 七尾市長表敬 「地元の方に出演、能登訪れるきっかけに」」『北國新聞』2025年7月15日。2025年7月16日閲覧。
- ^ “友近、“超時短”2時間サスペンス『崖』で主演 船越英一郎、内藤剛志らがまさかの犯人役”. ORICON NEWS (2025年6月16日). 2025年6月17日閲覧。
- ^ “フィルムエストTV主宰 西井紘輝 現代を映す昭和風動画が大ヒット。不思議な世界を創るエンターテイナー”. アクティオノート (2025年6月24日). 2025年7月2日閲覧。
- ^ “令和のアイドルが「昭和レトロ・ファッション」を発信 祖母から譲り受けた古着がきっかけ、「映えカルチャー」と捉える魅力とは”. まいどなニュース (2025年7月14日). 2025年7月16日閲覧。
外部リンク
- フィルムエストTV【公式】 (@FilmestTV) - X(旧Twitter)
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