ファルネーゼのヘラクレス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/26 07:45 UTC 版)
『ファルネーゼのヘラクレス』[1][2](伊: Ercole Farnese、英: Farnese Hercules)は、3世紀ごろ[3][4](古代ローマ時代)に作られた大理石彫刻。ギリシャ彫刻のローマン・コピー[2]。
ファルネーゼ家がルネサンス期に収集した「ファルネーゼ・コレクション」の一つ[5]。ギリシャ神話の英雄ヘラクレスを描写している。
解説
高さ3メートル超[1]。棍棒に体を預けるようにして立つヘラクレスを描写している[1]。
背に回した手には、3つの林檎が握られている[1]。これは「ヘラクレスの12の功業」の一つ「ヘスペリデスの黄金の林檎」を表している[1]。
作者はグリュコン(Glycon)と署名されている[1][3]。前4世紀の著名な彫刻家リュシッポス(またはその周辺人物)の作品の、ローマン・コピーとみなされている[1]。
1540年、ローマのカラカラ浴場跡で発掘された[1]。枢機卿アレッサンドロ・ファルネーゼの所有となり、1550年からパラッツォ・ファルネーゼに設置[1]。『ファルネーゼのアトラス』『美しい尻のヴィーナス』などと並ぶ「ファルネーゼ・コレクション」の一つとなった[5]。
1787年、エリザベッタ・ファルネーゼを介してファルネーゼ家の財産がナポリ王家に相続されると、ナポリに移された[5]。現在はナポリ国立考古学博物館が所蔵している[1][2][5]。
類似品が複数発掘されており、ルーヴル美術館[6]・ウフィツィ美術館[7]などに所蔵されている。近現代のレプリカもある[8]。ホルツィウスなどの絵画にも描かれている[1][9]。
ギャラリー
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顔
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ヘンドリック・ホルツィウス画『ファルネーゼのヘラクレス』[1]
関連項目
脚注
- ^ a b c d e f g h i j k l 尾崎彰宏『静物画のスペクタクル オランダ美術にみる鑑賞者・物質性・脱領域』三元社、2021年。ISBN 978-4883035281。137-139頁。
- ^ a b c 東京国立博物館・朝日新聞社編『特別展ポンペイ』朝日新聞社、2022年。国立国会図書館書誌ID: 031932113。27頁。
- ^ a b “Ercole Farnese. | 東京大学デジタルアーカイブポータル”. 2025年10月26日閲覧。
- ^ 宮城徳也. “フィレンツェだより第2章備忘録 3月11日”. tokuyam.w.waseda.jp. 2025年4月22日閲覧。
- ^ a b c d 宮城徳也. “フィレンツェだより第2章備忘録 3月11日”. tokuyam.w.waseda.jp. 2025年4月22日閲覧。
- ^ a b “statuette - Louvre site des collections” (フランス語). ルーヴル美術館. 2025年10月26日閲覧。
- ^ “Farnese Hercules”. Uffizi Galleries. 2025年10月25日閲覧。
- ^ a b “Iconic sculpture Herakles returns to plinth, thanks to gift | Cornell Chronicle” (英語). news.cornell.edu. 2025年10月25日閲覧。
- ^ a b “古代建築と彫刻のカプリッチョ|ジョヴァンニ・パオロ・パニーニ |所蔵作品検索|国立西洋美術館”. 国立西洋美術館. 2025年10月25日閲覧。
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