ファルネーゼのアトラス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/24 15:20 UTC 版)
『ファルネーゼのアトラス』(伊: Atlante Farnese)は、2世紀、古代ローマ時代に作られた石像[1]。イタリアのナポリ国立考古学博物館蔵[3]。世界的な文化遺産として知られる[1][4]。
ファルネーゼ家がルネサンス期に収集した「ファルネーゼ・コレクション」の一つ。ギリシャ神話の巨神アトラスを描写した大理石彫刻。
解説
150年ごろ(アントニヌス朝時代)製作[5]。作者不明。ギリシャ彫刻のローマン・コピー[6]。複製は存在せず、世界に一つしかない[5]。
高さ2メートル、重さ2トン[1]。大理石製[1]。マントをまとい、膝を曲げ体を屈めながら、両手で天球を支えるアトラスを描写している[5]。
アトラスが支える天球には、プトレマイオスの天文学理論にもとづく星座・黄道十二宮・子午線などの浮彫が施されている[5][6]。この天球は、16世紀オランダで作られた「天球儀」のモデルにもなった[5]。
1562年、アレッサンドロ・ファルネーゼが入手し[5]、『美しい尻のヴィーナス』『ファルネーゼのヘラクレス』などと並ぶ「ファルネーゼ・コレクション」の一つとなった[6]。ローマのファルネーゼ宮殿の「アトラスの間」に設置された後、1786年ブルボン家の支配下でナポリに移動[5]。現在のナポリ国立考古学博物館の所蔵品となった[5]。
日本との関わり
2025年の大阪・関西万博で、イタリアパビリオンの主要展示品として空輸された[3]。日本含むアジア初展示であり[7]、万博の見どころの一つとして、複数メディアで報道され[3][8][7][4][9]、SNSでも話題となった[10]。
関連項目
脚注
- ^ a b c d e 日本放送協会. “イタリアが「ファルネーゼのアトラス」展示へ 大阪・関西万博|NHK 関西のニュース”. NHK NEWS WEB. 2025年4月22日閲覧。
- ^ a b “L'ITALIA A EXPO 2025 OSAKA | ファルネーゼ・アトラス”. 2025年4月22日閲覧。
- ^ a b c 日本放送協会. “古代ローマの“ファルネーゼのアトラス” 万博会場に到着|NHK 関西のニュース”. NHK NEWS WEB. 2025年4月22日閲覧。
- ^ a b 日本テレビ. “【速報】"万博の華"海外パビリオン イタリア館開館式 目玉は古代ローマの像「アトラス」日本初公開|YTV NEWS NNN”. 日テレNEWS NNN. 2025年4月22日閲覧。
- ^ a b c d e f g h “L'ITALIA A EXPO 2025 OSAKA | Farnese Atlas”. 2025年4月22日閲覧。
- ^ a b c 宮城徳也. “フィレンツェだより第2章備忘録 3月11日”. tokuyam.w.waseda.jp. 2025年4月22日閲覧。
- ^ a b “月の石、月の砂、2000年前の巨大彫刻…中国、イタリア、アメリカ“推しの展示” 大阪・関西万博 | ラジトピ ラジオ関西トピックス”. ラジトピ (2025年4月14日). 2025年4月22日閲覧。
- ^ 黒川信雄 (2025年3月6日). “イタリア館で世界的な彫刻「ファルネーゼのアトラス」を日本初展示、「キリストの埋葬」も 大阪・関西万博 イチ推しパビリオン”. 産経新聞:産経ニュース. 2025年4月22日閲覧。
- ^ “アート視点で厳選! 大阪・関西万博の注目パビリオン【随時更新】 | ARTnews JAPAN(アートニュースジャパン)”. ARTnews JAPAN. 2025年4月22日閲覧。
- ^ “万博イタリア館の内容「ヤバイ」と話題 古代ローマの彫刻、バチカンの名画、ダヴィンチ…『アナ雪』歌手も来ていた”. ORICON NEWS (2025年4月21日). 2025年4月22日閲覧。
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