ピストルカービン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/08 14:09 UTC 版)
カービンの一種として拳銃弾を使用するものがあり、これらはピストルカービン(Pistol Carbine)、またはPistol-Caliber Carbineの略称からPCCと呼称される。金属製薬莢が普及し始めると、ピストルカービンは真っ先に登場した。これらは当時人気だったリボルバー式拳銃と同じ弾薬を使用する"仲間"(companions)として、より高い初速と射撃精度を実現するべく開発された。西部開拓時代にはカウボーイや保安官によって広く使われ、.44-40弾あるいは.38-40弾を使用するウィンチェスターレバーアクションカービンとコルトリボルバーの組み合わせが最も良く見られた。 20世紀になると、より強力なリボルバー用銃弾が開発され、ウィンチェスター社やマーリン社では.38スペシャル/.357マグナム弾及び.44スペシャル/.44マグナム弾を使用するレバーアクションカービンを開発した。また、特殊な例としてはデ・リーズル カービンがある。この銃は特殊作戦用に開発されたもので、.45ACP弾を使用する。 現代にも同種のカービンは存在し、スターム・ルガー社のルガー・ポリス・カービン(採用中止)は同社の拳銃用弾倉を使用する。同様にマーリン社のキャンプ・カービン(採用中止)ではM1911拳銃の弾倉を使用している。ベレッタ社のベレッタCx4はベレッタPx4拳銃と相補的に運用することを見越しており、各種のベレッタ拳銃と弾倉を共有出来るように設計されている。ハイポイント社の995カービンは同社のC-9[要曖昧さ回避]拳銃と弾倉を共有し、またアメリカ国内における最も安価なカービンの一つでもある。その他、ケルテック社(Kel-Tec)のSUB-2000シリーズは、グロック、ベレッタ、スミス&ウェッソンなどの9mm或いは.40S&W弾を使用する拳銃をカービン化したものである。このような製品から、近年になって拳銃と弾薬を共有するコンパニオン・カービン(companion carbines)の需要は高まっていると見られる。 ピストルカービンの主な利点は、銃床や長銃身の為に発砲炎や反動が抑制され、高初速と高エネルギー及びそれに伴う殺傷力や貫通力が期待できる点である。またピストルカービンは銃声も小さく、屋内のような閉所で発砲したとしても聴覚に異常を来し難いとされる。一方で.223弾や7.62x39弾を用いる通常のライフルあるいはカービンと比べて、ピストルカービンは有効射程が短く弾道も不安定で、威力も劣る。さらに、とくに軍事用途としては、小銃弾とは別に拳銃弾を多量に用意せねばならないため運用上の不便や兵站への負担が大きくなるというデメリットもある。
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