バールバラ大陸の存在時期の不確実性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/24 17:11 UTC 版)
「バールバラ大陸」の記事における「バールバラ大陸の存在時期の不確実性」の解説
バールバラ大陸は、31億年前〜28億年前くらいの間に存在したのではないかと考えられている。ところで、地球上の超大陸の形成と分裂には、地質学的な時間で見てゆくと周期性があるのではないかという考え方が存在し、それはウィルソンサイクルと呼ばれている。それによれば、大陸を乗せたプレートは、集合し衝突し分裂するということを周期的に繰り返しているとされる。大陸を形成する地殻は、海洋を形成する地殻よりも寿命が長い。海洋の地殻は海嶺で生成されても、大陸を形成する地殻と比べて比重が重いため、いずれ海溝からマントルの中に沈み込んで消滅してしまうが、大陸の地殻は比重が軽いために、いつまでもマントルの上に浮いている傾向にあるので、このような寿命の差が生ずる。このため大陸を形成する地殻は、常に陸地を形成しやすい状態にあるのである。さらに、クラトン(大陸を形成する地殻の中でも特に安定して存在し続けられる部分)は、他の大陸を形成する地殻と一緒になって、しばしば大陸を形成する。ウィルソンサイクルの考え方のよれば、このようなクラトンを含んだ大陸地殻が、ある時期には超大陸を形成し、その超大陸もいずれ分裂し、そして離散し、再び超大陸を形成するとされている。地球におけるこの超大陸の形成と分裂の周期は、約4億5000万年と考えられている。先にバールバラ大陸が、31億年前〜28億年前くらいの間に存在していたとあるが、この間ずっとバールバラ大陸が存在していたというのは(過去の地球の内部は現在よりも高温であったと推定されるので、現在の大陸移動速度が、このバールバラ大陸が形成されていた時代にも適用できるかは不明であることを差し引いても)、現在のウィルソンサイクルの周期を見ると考えにくい。 さらに、バールバラ大陸がいつ頃に分裂を始めたかについてもよく判っていない。ただし、古地磁気学的な調査の結果、カープバールクラトンとピルバラクラトンとが共に緯度30度にあった時、27億8000万年前〜27億7000万年前には分離していたようなので、28億年前頃には、少なくともこの2つのクラトンについては分離しただろうとされている。しかし、これはあくまでカープバールクラトンとピルバラクラトンとの関係に過ぎず、バールバラ大陸全体についての話ではないことに注意を要する。 つまり、バールバラ大陸がいつ存在した大陸であったのかは、まだよく判っていないのである。バールバラ大陸は、存在したであろうことが推定されているだけの仮説上での大陸でしかない。
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