バールシャミン三位神
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 14:02 UTC 版)
パルミラには、ほかにバールシャミン(英語版)三位神が見られる。バールシャミンは「天の主」の意で、紀元前2千年紀よりフェニキア(地中海沿岸)で知られ、紀元前950年頃のビブロスの王イェヒミルク (Yehimilk) の崇拝、それに紀元前800年頃のハマーの王ザキル(英語版)の崇拝が認められる。豊饒と雷雨の神であり、パルミラ語の献辞では「世界の主」や「永遠」などと記され、ギリシア語の碑文ではベルと同じように最高神ゼウスとされる。 バールシャミン三位神は、ルーヴル美術館所蔵の1世紀前半とされる高さ60センチメートル、幅72センチメートルの浅浮彫りが初見であり、ベル三位神の成立とほぼ同時代にあたる。ベルはパルミラのほとんどの諸神と同じくひげを生やさないが、バールシャミンは外来神らしくひげを蓄えており、また、バールシャミン三位神は、向かって左が月神アグリボール、右が太陽神マラクベール(英語版)となり、バビロニアの思想と同様に月神が太陽神より上位に置かれる。しかし、ベルとバールシャミンが女神アスタルトらとともに並んだ浮彫りなどが発見されていることから、ベルとバールシャミンの三位神は類似するものの対立はなかったものとされるとともに、バールシャミン三位神のマラクベールは「ベールの使者」の意と考えられることから関係性が示唆される。
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