バーゼル‐ワン【Basel one】
バーゼルI
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/10 06:40 UTC 版)
1988年に公表された最初の国際的な銀行の自己資本比率に関する合意。日本では1988年度から移行措置が適用され、1992年度末から本格適用が開始された。国際的に活動している銀行に対し、信用リスクを加味して算出された総リスク資産(いわゆるリスク・アセット総額)に占める8%の自己資本の保有を求めたもの。1996年には市場リスクに対する追加的な合意が公表されている。 バーゼルIにおいては、銀行が保有する株式の含み益の最大45%を自己資本に含めることを認めていた。ところが、バーゼルIに基づく日本国内の自己資本比率規制の制定と実施がバブル景気の崩壊を背景とした株価のピーク・アウトをまたぐものとなったことから、日本の銀行は株式の含み益を期待していたほど自己資本に含めることができなくなった。こうした状況に対し、日本の規制対象行は必要な自己資本の確保のため転換社債を発行するなどの多大な努力を払った。そして規制が完全に適用開始となった1993年(平成5年)度3月期末決算までにすべての規制対象行が規制を達成した。 その後、バブル景気の崩壊による景気の低迷が深刻化する中で、日本の銀行の不良債権は増大し、毎年の決算において多額の債権償却を迫られるようになった。その結果、償却による自己資本の減少によって自己資本比率が最低線(8%)を割り込む可能性が意識されるようになった。これが銀行の与信姿勢の後退をもたらし、日本の景気低迷を長期化させる一因となったとの見方がある。 「不良債権#識者の見解」も参照
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