バリオン‐おんきょうしんどう〔‐オンキヤウシンドウ〕【バリオン音響振動】
バリオン音響振動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/09 05:26 UTC 版)
宇宙の晴れ上がり以前の初期宇宙ではすべての物質は電離状態にあり、光子とのトムソン散乱によりバリオンと光子は一体の流体として振る舞う。時刻(宇宙年齢) t {\displaystyle t} でのこの流体の音速 c s {\displaystyle c_{s}} は c s ( t ) = c 3 ( 1 + R ( t ) , R ( t ) = 3 ρ ¯ b ( t ) 4 ρ ¯ γ ( t ) = a ( t ) × 3 Ω m 0 4 Ω γ 0 {\displaystyle c_{s}(t)={\frac {c}{\sqrt {3(1+R(t)}}},\ \ R(t)={\frac {3{\bar {\rho }}_{b}(t)}{4{\bar {\rho }}_{\gamma }(t)}}=a(t)\times {\frac {3\Omega _{m0}}{4\Omega _{\gamma 0}}}} により与えられる( ρ ¯ b {\displaystyle {\bar {\rho }}_{b}} , ρ ¯ γ {\displaystyle {\bar {\rho }}_{\gamma }} はバリオンと光子の平均エネルギー密度、 a ( t ) {\displaystyle a(t)} はスケール因子)。バリオン-光子流体はこの音波が時間 t {\displaystyle t} の間に伝播する距離 r s ( t ) = ∫ 0 t c s ( t ′ ) a ( t ′ ) d t ′ = 1 3 ∫ 0 t c 1 + R ( t ′ ) d t ′ {\displaystyle r_{s}(t)=\int _{0}^{t}c_{s}(t')a(t')dt'={\frac {1}{\sqrt {3}}}\int _{0}^{t}{\frac {c}{\sqrt {1+R(t')}}}dt'} を典型的な波長とする特徴的な密度ゆらぎを持つ(バリオン音響振動、BAO)。この密度ゆらぎは晴れ上がり後も残り、宇宙の大規模構造にもこの波長に対応する密度ゆらぎの痕跡が残される。物質のパワースペクトルに含まれるバリオン音響振動の波長は物質の密度パラメータ Ω m 0 {\displaystyle \Omega _{m0}} で決まる「宇宙のものさし」として機能するため、その見かけのサイズ(角径距離)から宇宙論パラメータを観測的に制限する有用なツールとなる。BAOは2005年にSDSSによって銀河分布の相関から検出されており、2017年のDark Energy Survey(英語版)によるBAOの解析もまた加速膨張と無矛盾である。
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バリオン音響振動
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「ダークエネルギー」の記事における「バリオン音響振動」の解説
バリオン音響振動(英語版)とは、宇宙の晴れ上がりの際、後に銀河や星を構成することになるバリオンの共鳴していた距離が凍結され、銀河間の特徴的な距離がおよそ140メガパーセク (Mpc)(約4.57億光年)として銀河分布に刻まれる現象である。 我々からある距離に存在する明るい銀河の特徴的な分布を角度として測り、その角度をこの凍結された距離として解釈することにより、宇宙論パラメータを解くことができる。大規模な銀河探索であるスローン・デジタル・スカイサーベイのチームが、銀河の分布からバリオン音響振動の観測に初めて成功し、その結果は2005年に発表された。その後も検証が続けられ、最新の観測結果もダークエネルギーの存在を強く支持している[要出典]。
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