ハメットの酸度関数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/07/18 23:26 UTC 版)
ある酸 HA に、指示薬として微量の弱塩基 B を加えた溶液系を考える。溶液中で、塩基 B の一部はプロトン化されて BH+ となる。 HA + B ↽ − − ⇀ A − + BH + {\displaystyle {\ce {{HA}+B\ <=>\ {A^{-}}+BH^{+}}}} このとき、酸 HA のハメットの酸度関数 H0 は、プロトンの活量 a および塩基 B の活量係数 γ を用いて、次式で定義される。 H 0 = − log ( a H + γ B γ B H + ) {\displaystyle H_{0}=-\log \left(a_{\rm {{H}^{+}}}{\frac {\gamma _{\rm {B}}}{\gamma _{\rm {{BH}^{+}}}}}\right)} 活量係数 γ は、活量 a を濃度 c で除した数であるから、上の式は次のように書き改められる。 H 0 = − log ( a H + a B / c B a B H + / c B H + ) = − log ( a H + a B a B H + ) + log ( c B c B H + ) {\displaystyle H_{0}=-\log \left(a_{\rm {{H}^{+}}}{\frac {a_{\rm {B}}/c_{\rm {B}}}{a_{\rm {{BH}^{+}}}/c_{\rm {{BH}^{+}}}}}\right)=-\log \left({\frac {a_{\rm {{H}^{+}}}a_{\rm {B}}}{a_{\rm {{BH}^{+}}}}}\right)+\log \left({\frac {c_{\rm {B}}}{c_{\rm {{BH}^{+}}}}}\right)} この右辺第1項は BH+ の酸解離定数 (pKa) である。すなわち、塩基 B の pKa が既知であれば、溶液中の B と BH+ の比率から、ハメットの酸度関数 H0 が求められる。 実験的には、酸度関数を求めたい溶液に、ニトロアニリンやニトロベンゼンの誘導体を塩基として少量加え、溶液中での B/BH+ 濃度比をNMRスペクトルの積分値や吸光光度法によって求めることで算出する。 ハメットの酸度関数は、対象となる溶液の種類と組成、濃度に固有の数値であり、温度によって変化する。測定に使用する塩基の種類にはあまり影響されない。 H0 の値は強い酸性であるほど負に大きな数値となる。例として、25℃での 5% 硫酸の H0 は -0.02、100% 硫酸は -12、フルオロスルホン酸は -15、マジック酸(フルオロスルホン酸に 90mol% の五フッ化アンチモンを溶解したもの)は -26.5 である。
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