ハインツ・コフートによる病的自己愛に関する分析的立場
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/11 08:18 UTC 版)
「オットー・カーンバーグ」の記事における「ハインツ・コフートによる病的自己愛に関する分析的立場」の解説
原始的誇大感や理想化を現実からの防衛的退却の表象として見る一方で、ハインツ・コフートは分析場面での自己愛的錯覚を発達上の重大な契機を確立しようとする患者の試みの表象として捉える。これらの自己愛的錯覚はそれ故自己の活性化への契機を与える。だから、ハインツ・コフートは治療における分析者の立場が十全な自己愛転移を、問題にする代わりに、励起するべきであるところに存すると主張する。これを確立するため、分析者は共感的理解を示せなければならないが、それには自己愛的錯覚に対する感受性と、彼らへ異議申し立てをしたりそれらが非現実であることを示唆したりのすべてのいかなる負担をも忌避することを必要とする。ハインツ・コフートは自己愛転移と自己-対象要求の概念を使う。彼はまた幼稚症と、分析者とその他の全員に対する過剰な要求であるように見えるものの重要性を強調する。放棄されるべき本能的希求というよりはむしろ、あたたかく受け入れ理解されるべき発達上の要求を彼らは見失っている。患者は、彼の発達の早期に何が失われたのかを他者から引き出そうとすることにより、自己治癒を手探りしている。ハインツ・コフートは、分析者がどのように彼が知っていると思っていようと、患者は彼が何を必要としているのかを知っていると感じている。彼は成熟におけるまた発達を通しての希望の重要性を強調する。自己の経験を活性化する理想と理想化への要求が持続してある。彼の自己愛患者との仕事の中において、ハインツ・コフートの精神分析的方法論の決定的特徴はだから共感的没入(あるいは代行的検討)となり、それ故彼は患者の身になって考えようとする 。この見地は上記に議論したフロイト早期の自己愛的防衛の分析可能性に関する見地と好対照である。
※この「ハインツ・コフートによる病的自己愛に関する分析的立場」の解説は、「オットー・カーンバーグ」の解説の一部です。
「ハインツ・コフートによる病的自己愛に関する分析的立場」を含む「オットー・カーンバーグ」の記事については、「オットー・カーンバーグ」の概要を参照ください。
- ハインツ・コフートによる病的自己愛に関する分析的立場のページへのリンク