ノール パングァンとは? わかりやすく解説

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ノール パングァン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/29 07:04 UTC 版)

1000 / 1001 / 1002 パングァン

1945年に製造された1002 パングァン

パングァンNord Pingouin )は、北部航空機製造公社(以下S.N.C.A.N. / SNCAN)で生産された連絡機。ほかにも様々な用途で使用された。

概要

この機体はハンブルク航空機製造社(メッサーシュミット社)が開発したBf 108の派生型である。戦時中からS.N.C.A.N.社にはBf 108の生産が命じられており、170機を生産した時点でフランス解放となった。Bf 108の残った部品を用いてS.N.C.A.N.社では1000の名で呼び、解放後も継続して生産し、のちにエンジンを換装した型を開発した。この後期型がパングァンの名をつけられ、1000も含めて呼ばれるようになった。

生産社のS.N.C.A.N.社は正式名称の最初が「ノール (Nord、北部の意)」であったことから、ノールと呼ばれた。これは1954年にS.N.C.A.N.社を併合したS.F.E.C.M.A.S.社が国有航空機製造社となったときのノール・アヴィアシオン(Nord Aviation)とは異なる。

開発

1942年にメッサーシュミット Bf 108の生産は、占領下フランスのレ・メロー(Les Mereaux)にあるSNCAN社(通常ノールとして知られる)に移管された。フランス解放までに170機のBf 108が生産され、ノール社は引き続きノール 1000として生産を続けることを決めた。エンジンを233hp (174kW) のルノー 6Q 11 エンジンに換装した時に名称をノール 1001 パングァン I とし、ルノー 6Q 10 に換装した4座の近代化モデルをノール 1002 パングァン II とした。総計250機が生産され、その多くはフランスの軍隊で連絡機として使用された。

更に開発された首車輪式の降着装置を持つモデルがノール ノラルファとなった。

設計

パングァンは持ち持ち(モチモチ)式低翼単葉機で、支持架で補強された水平尾翼と1枚の垂直尾翼を持っており、降着装置は尾輪式で主車輪は外側に引き込んだ。エンジンは機首に装備し、キャビンは密閉式で2名の搭乗員は並列に座りその後に3人目の座席のスペースがあった。

派生型

1000
フランス製の Bf 108.
1001 パングァン I
ルノー 6Q 11 エンジンを装備したモデル。
1002 パングァン II
ルノー 6Q 10 エンジンを装備した4座モデル。

運用

フランス

諸元

(1002 パングァン II)

  • 乗員:1名 + 3名
  • 全長:8.28 m (27 ft 2 in)
  • 全幅:10.61 m (34 ft 10 in)
  • 全高:2.29 m (7 ft 6½ in)
  • 空虚重量:881 kg (1941 lb)
  • 全備重量:1356 kg (2987 lb)
  • 巡航速度:257 km/h (160 mph)
  • 航続距離:997 km (620 miles)
  • エンジン:1 × ルノー 6Q 10, 179 kW (240 hp)

現存する機体

  • すべてを網羅しているわけではない。
型名 番号     機体写真     所在地 所有者 公開状況 状態 備考
1002 88 ドイツ 個人所有 不明 飛行可能
1002 91 ドイツ ラインラント=プファルツ州 ピーター・ユニォア航空機展示場 公開 静態展示
1002 97
L.15-2 (EdA)
スペイン マドリード州 航空宇宙博物館[1] 公開 静態展示 [2]
1002 103 ニュージーランド ベイ・オブ・プレンティ地方 コリン・ヘンダーソン氏 (Colin Henderson) 公開 飛行可能 [3]
1002 121 中国 香港 アードモア航空サーヴィシーズ株式会社 (Ardmore Aviation Services Ltd) 公開 飛行可能 香港の会社が所有しているが、イギリスのダックスフォード帝国戦争博物館格納庫にある。
1002 163 ドイツ バーデン=ヴュルテンベルク州 シュトゥットガルト空港 公開 静態展示
1002 184 ベルギー ブリュッセル 王立軍隊軍事史博物館[4] 公開 静態展示
1002 202 アメリカ ネヴァダ州 アナカパ・ネヴァダ株式会社(Anacapa Nevada Inc.) 非公開 保管中
1002 234 オーストリア ニーダーエスターライヒ州 オーストリア航空博物館[5] 非公開 修復中 [6]
1002 257 ドイツ ベルリン都市州 ドイツ技術博物館[7] 公開 静態展示 フランス海軍の塗装がされている。
1002 258 アメリカ ヴァージニア州 軍事航空博物館[8] 公開 飛行可能 [9]
1002 269 写真 ハンガリー ヤースナジクンソルノク県 ソルノク飛行機博物館[10] 公開 静態展示 [11]
1002 274 イギリス ロンドン ウェストロンドン航空協会 [12] 公開 飛行可能
1002 285 オーストラリア ニューサウスウェールズ州 ベンジャミン・サンプトン氏 (Benjamin Sampson) 公開 静態展示

関連項目

出典

  • Taylor, Michael J. H. (1989). Jane's Encyclopedia of Aviation. London: Studio Editions 
  • The Illustrated Encyclopedia of Aircraft (Part Work 1982-1985). Orbis Publishing. pp. 2615/6 

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