ニザーミーの版
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/07 06:30 UTC 版)
「ホスローとシーリーン」の記事における「ニザーミーの版」の解説
この物語自体はニザーミーが題材として取り上げる前に知られていたものであるが、ニザーミーにより最高のロマンス文学へと昇華することになった。ホスローの王としての言動や戦いなどの歴史に焦点を当てたシャー・ナーメとは異なり、ニザーミーは物語のロマンス部分に焦点を当てた。 セルジューク朝のスルターンアルスラーン1世(英語版)が特に対象を指定せずに恋愛をテーマにした叙事詩を書くよう要請した際に、ニーザミーは彼の出身地で語られていたホスローとシーリーンの物語の恋愛部分のみを取り出してメインテーマとし、伝説で語られていたような歴史に関しては記述を最小限に留めた。 ニザーミー (1141年–1209年) 自身はこの作品を世界で最も甘美な物語であると考えていた。 「 ホスローとシーリーンの物語はよく知られており、実際のところ、この作品より甘美な作品は存在しない。 」 ニザーミー、そして作品完成後亡くなった彼の最初の妻アーファーク (Afaq)の秀逸な作品の一つであると考えられている。ニザーミーの作品に関して多くの版が出ている。前段、挑戦、謎、危機、話の盛り上がり、解決、そして最後に破局が起こるといったように、物語は部分ごとにテーマを持ちながら進められていく。 ニザーミーのこの作品はフェルドウスィーのシャー・ナーメに加え、ファフルッディーン・アサド・グルガーニー(英語版)と、彼の作品であり似たような場面構成を持つヴィースとラーミーンに影響を受けている。ニザーミーの天文学への関心を反映した描写は「ヴィースとラーミーン」における夜の星空に関する天文学的で詳細な説明にその先例を見ることができる。ニザーミーはロマンス文学の伝統に大きな影響を与えている一方で、 グルガーニーの作品にはニーザミーの叙事詩に見られるようなスーフィーの影響が見られないことから、Gorganiはこの伝統特有のレトリックや詩の世界観の大部分の基礎になったといえるだろう。
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