ナチス政権による政治利用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/11 01:49 UTC 版)
「ドイツ統一行進曲」の記事における「ナチス政権による政治利用」の解説
この行進曲は長らく紛失したと見られていたが、1938年3月のドイツとオーストリアの併合(アンシュルス)の直後、指揮者エドゥアルト・プフレガー(Eduard Pfleger)によって「幸運にも偶然に」再発見された。4月初めのいくつかの新聞記事では、「ヨハン・シュトラウスとドイツ帝国の併合――再発見された作品」など、政治的な宣伝効果を狙った見出しが躍った。ナチス政権のもとで政治的プロパガンダの歌詞が新たに付けられた(作詩はカール・マリア・ハスルブルナー、Carl Maria Haslbruner)。下記はその歌詞の一部である。 「 ドイツよ!目覚めよ!目覚めよ!その時が来たのだ!底からの情熱で、ドイツはとうとう蘇った。目覚めさせたのは誰か?我々を導いたのは誰か?それは我らがアドルフ・ヒトラー!彼は我々に防具と力を与えた。オストマルクを故郷に帰した。若々しく輝く大ドイツを創造したのだ! 」 革命・ドイツ統一の機運が高まった1848年と1938年の状況を同一視することで、ナチスは独墺併合をスムーズに効果的に進めようとした。この新たな歌詞も、ナチスの現在進行の政治状況に合わせて、歴史を読み替えようとするものであった。著名な作曲家による『ドイツ統一行進曲』という題名の曲は、ナチスにとって政治利用するのにたいへん都合が良いものであった。かくして、シュトラウス1世の時代の歴史的背景を、作曲者自身の「叶えられなかったドイツ統一への夢」として表現することによって、新しい歌詞の編曲新版は世に出されたのである。
※この「ナチス政権による政治利用」の解説は、「ドイツ統一行進曲」の解説の一部です。
「ナチス政権による政治利用」を含む「ドイツ統一行進曲」の記事については、「ドイツ統一行進曲」の概要を参照ください。
- ナチス政権による政治利用のページへのリンク