トランジスタでの影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/01/26 07:00 UTC 版)
「ホットキャリア注入」の記事における「トランジスタでの影響」の解説
MOSFETのホットエレクトロンは、ゲート酸化膜をトンネルしてゲート電流や基板リーク電流となる。ホットエレクトロンはチャネル領域からゲートへ、ドレイン領域から基板へ移動する。 例えばMOSFETではゲートが正でスイッチオンされた場合、電子が伝導チャネルを通ってドレインへ流れるように設計される。ホットエレクトロンはチャネルを通る電流として寄与せず、リーク電流となる。MOSFETのホットエレクトロン効果の改善のために、ゲート端でダイオードを逆バイアスに置いたり、lightly doped drainやダブルドープドレインにしたりする。電子がチャネルで加速された場合、平均自由行程の間はエネルギーを得る。このエネルギーが失われる方法として2通りがある。 キャリアが基板の原子に衝突し、コールドキャリアと電子正孔ペアが生成する。nMOSトランジスタの場合、生成した電子はチャネルによって集められ、生成した正孔は基板へ移動する。 キャリアがSi-H結合に衝突し結合を壊す。界面状態が作られ、水素原子は基板に放出される。 原子またはSi-H結合に衝突する確率はランダムで、各プロセスに含まれる平均エネルギーはどちらも同じである。 このため、基板電流が測定される。基板電流が大きいと多くの電子正孔ペアが作られ、Si-H結合崩壊が起きていることが分かる。 界面状態が作られた場合、閾値電圧が変化しサブスレッショルドスロープが低下する。これにより電流が低下し、集積回路の動作周波数が低下する。
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