トゲウオPitx1遺伝子
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/09 02:31 UTC 版)
「エンハンサー」の記事における「トゲウオPitx1遺伝子」の解説
近年、イトヨの形態変化におけるエンハンサーの役割の研究が行われている。トゲウオ類は海水と淡水の双方の環境に存在するが、トゲウオの多くの淡水個体群は、腹鰭(四肢動物の後肢と相同な付属器官)を完全に失っている。Pitx1(英語版)は、脊椎動物で後肢の発生に関与するホメオボックス遺伝子である。予備的な遺伝的解析により、この遺伝子の発現の変化がトゲウオでの腹鰭の喪失を担っていることが示されている。Pitx1の淡水型アレルのみを発現する魚は腹鰭を持たず、海水型アレルを発現する魚は腹鰭を持つ。より詳細な特徴づけにより、約500塩基対のエンハンサー配列が腹鰭芽でのPitx1の発現の活性化を担っていることが示された。このエンハンサーは、染色体脆弱部位(英語版)(DNAが壊れやすく、不正確なDNA修復のために変異が生じやすい領域)の近傍に位置している。淡水個体群では腹鰭の棘でPitx1の発現を駆動するエンハンサーの欠損が何度にもわたって独立に生じており、このエンハンサーを持たない淡水魚では腹鰭の棘の発生が行われない。
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