タミル人の名前
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/05 14:28 UTC 版)
タミル人は伝統的に、個人名以外は持たなかったので、頭文字による父名の使用、中間名、家族名などの名は外来のものである。このため、中には非常に長い個人名も付けられることがある。この場合、その個人名が分かち書きされる場合があるが、家族名やその他の名ではない。 したがって本来は、タミル人の名前は単に Murugeshan や Lakshmanan といったものである。 Murugeshalakshmanan のような長い名前が、Murugesha Lakshmanan のように分かち書きされる場合があるが、家族名やその他の名ではない。 イギリス支配下で、学校制度や土地の登記、生年月日の届け出などと合わせて、行政上の必要から、個人名のみの使用では不都合が生じることとなった。同名による混乱を避ける必要が生じたのである。そこで、近代的な法体系が整備されて、イギリスと同様の名前の持ち方が一般に要請されることとなり、副名の使用が促された。そこでタミル人は、数世代前までの父系の祖先の個人名を並べて、頭文字にして個人名の前に置くという方法を採った。この慣習はヴィラーサム (விலாசம் ; vilasam) と呼ばれた。 たとえば、Mu. Ko. Ka. Mu. Tha. Er. Ganesh と Mu. Ko. Ka. Mu. Tha. Ka. Ganesh は、従兄弟同士の関係にある。 最近では、完全なヴィラーサムによる名前は、人生の重要な意味を持つ場面でしか用いられず、普通は一世代前すなわち父親の個人名の頭文字のみが用いられる。このため、基本的に父親の個人名が副名とみなされ、家族名とみなされる場合もある。タミル人の女性の場合、結婚後は夫の個人名を副名として用いることが一般的である。 たとえば、Ajith Abraham という名は Abraham の息子である Ajith という意味であり、頭文字を用いて表記する場合には A. Ajith となる。Ajith に Ashwin という息子がいれば、その息子は Ashwin Ajith という名であり、頭文字を用いて表記する場合には A. Ashwin である。 Sunitha Gopalan という結婚前の女性は、Gopalan の娘である Sunitha という意味であるが、Rajiv という個人名の男性と結婚した場合、彼女の名前は Sunitha Rajiv と変わる。 もともとはカースト名がタミル人の家族名とみなされていたが、南インド、特にタミル・ナードゥ州とケーララ州では、カーストを社会に公開しない傾向があったのである。したがって、特に若い世代の間ではカースト名を名乗ることは一般的でない。一部のタミル人は、たとえば Madurai Mani Iyer のように、故地名 (この例では Madurai) とカースト名 (この例では Iyer) との両方を名前の一部として用いることがあり、この場合はテルグ人の名前と同様、「家族名・個人名・カースト名」という形式になっている。
※この「タミル人の名前」の解説は、「インド人の名前」の解説の一部です。
「タミル人の名前」を含む「インド人の名前」の記事については、「インド人の名前」の概要を参照ください。
- タミル人の名前のページへのリンク