タッキング対決
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/25 03:24 UTC 版)
レース目的で配置された帆走コースは、いつも1本の直線区間(leg)が直接の風上になっている。ここは最高のセーリング技術がレースの醍醐味をしばしば作ってくれる場所である。帆の調節と最も効率的なボート動作の維持こそが最大限に重要となる。これらの環境において、タッキング対決がしばしば展開される。 乱れのない風上に向かう帆船は、他の帆船に比べ空気力学的に有利となる。この利点を維持するために、先行する帆船はしばしば後続帆船を「ブランケット(blanket、他の船や障害物の陰となり、風が遮られている場所のこと)」へと操縦して、自分の風下で作られている乱気流の中に相手を閉じ込めようとする。これには不断の予測と、多くの異なる力学的要因とのバランスを取ることも必要となる。対して、後続の帆船は追い越しを試みるか、さもなくば先行する帆船によって作られた悪いエアブランケットを逃れて、速度や惰性を勢いをあまり失うことなく澄んだ(乱気流のない)空気に向かうことである。 タッキング対決が展開されるのは、たいてい2艘以上の帆船が非常に接近した水域内で過度のコース変更(タッキング)を複数実行する時である。これにはしばしば、安全な右側通航規則(right-of-way-rule)のねじ曲げまたは違反も含まれ、対決する帆船間での危険かつ険悪な状況を意図的に作り出す。各船長は先行リードを獲得し、澄んだ空気の優位性と得ようとする。ただし、それぞれのタッキングにおいてある程度の速度や時間は常に失われるため、時々これが反生産的(逆効果)になることもある。
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