タイトジャンクションの形態学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/12 08:33 UTC 版)
「密着結合」の記事における「タイトジャンクションの形態学」の解説
1963年にFarquharとPaladeはラット、モルモットの腺および管腔組織の様々な上皮細胞に形態の異なる3種類の細胞間接着分子を報告した。これがタイトジャンクション、アドヘレンスジャンクション、デスモソームである。この論文では透過型電子顕微鏡観察である超薄切片像で隣り合う上皮細胞の形質膜が隙間なく完全に密着した形態学的な特徴と透過性バリアとしての機能を合わせて示している。1960年代後半には別の電子顕微鏡法である凍結割断レプリカ法によって、タイトジャンクションの膜密着部分では細胞内で粒子が紐状に並んだストランド構造がネットワークを形成し、ベルトとして細胞周囲を取り巻いていることが明らかになった。 この構造はより正確にはバイセルラータイトジャンクション(bicellular tight junction、bTJ)とよばれる。3つの上皮細胞が接触するトリセルラーコンタクト(tricellular contact、TC)ではタイトジャンクションはバイセルラータイトジャンクションと異なる構造をしていると考えられており、トリセルラータイトジャンクション(tricellualr tight junction、tTJ)と呼ばれる。トリセルラータイトジャンクションに関しては1960年代から1970年代に複数の著者から凍結割断レプリカ法による電子顕微鏡観察が報告されている。 中でもStaehelinらの報告はよく引用されている。まずバイセルラータイトジャンクションのベルトはトリセルラーコンタクトに近づくと基底部側に折れ曲がり、お互いにほぼ寄り添ったまま基底部側に長く伸びる。そしてこの中心のベルトに向かって何本ものベルトが合流する。トリセルラーコンタクトの中心部はcentral sealing elementsとよばれる3対のTJストランドがあり、これらによって中心管(central tube)が構成される。central sealing elementsを構成するタイトジャンクションはバイセルラータイトジャンクションを構成する蛋白質とは異なると予想されていた。中心管の直径はおよそ12nmと言われており、高分子の傍細胞経路を制御すると考えられている。ミオグロビンの有効分子径は1.9nm、アルブミンは3.6nm、γグロブリンは5.6nmであるため中心管を制御することで高分子医薬品を透過させることが可能となる。
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