スロースリップ及び地震活動の活発化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 04:07 UTC 版)
「東北地方太平洋沖地震及び津波のメカニズム」の記事における「スロースリップ及び地震活動の活発化」の解説
東北地方太平洋沖地震の震源域となったアスペリティでは、非地震性を含むすべり現象が確認されている。GPSのデータ解析によれば1996年以降、本震震源域の南西において陸側プレートのすべりが加速していく現象が確認されている。 2011年2月半ば以降になると、本震震源付近で活発な地震活動が見られた。2011年2月13日から三陸沖では最大M5.5の地震活動が見られ、3月9日11時45分にはM7.3の地震が発生した。いずれも太平洋プレートと東北地方のプレートとの境界で発生した逆断層型の地震であり、特に3月9日の地震後には翌3月10日の6時23分に発生したM6.8の地震などM6クラスの地震が6回(9日と10日でそれぞれ3回ずつ、発生時刻の近接もあり(11時57分がM6.2、58分がM6.0))発生し、また3月9日のM7.3の地震発生から2日後の東北地方太平洋沖地震発生までの約2日間の間に、2008年9月からの約2年半の地震数27回を上回るするなど、極めて活発な地震活動が見られた。これは3月9日に20回(3月9日のM7.3の地震を含む)、3月10日に13回、本震が発生する前の3月11日にも3回三陸沖を震源とする前震と思われる地震活動があり、計36回もの地震記録が残されている。その後、本震が発生した後には三陸沖における地震活動が3月11日に6回(本震を除く)、3月12日に7回、3月13日以降はおおよそ1日間に1~2回程度まで減っている。 3月9日のM7.3の地震発生後、東北地方太平洋沖地震震源の北東約50×50キロメートルの範囲に地震発生域が拡大し、特に本震の震源となる南西方向への地震活動域の拡大が顕著になっていく。前震活動のスロースリップなどの余効滑りはMw6.8と計算されている。また2月半ばからの地震活動も本震の震源付近へと活動域が移動している。活発な地震活動が東北地方太平洋沖地震の震源方向へと拡大していったことは、3月9日11時45分に発生したM7.3の地震に代表される東北地方太平洋沖地震発生以前の地震活動が前震であった根拠の一つと考えられている。また3月9日から11日の本震までに発生した地震の多くは、沈み込んでいく太平洋プレートと東北日本の地殻が接するプレート境界面で発生していた。 このような非地震性のすべりや複数の地震によるすべりによって、強固に固着し数百年間のひずみを溜め込んだ震源域のアスペリティに継続的に力が加えられ、限界値に達して破壊が始まり、更に周囲の複数のアスペリティ―を巻き込むことによって超巨大地震になったと考えられている。
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