スペクトルによる確認
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/07/30 19:23 UTC 版)
1962年から1964年にかけて1,2-ジヨードベンゼンやo-ベンゼンジアゾニウムカルボキシラートの熱分解によって生成させた気相中のo-ベンザインのマススペクトルや紫外吸収スペクトルが測定された。1973年から1975年にかけてO.L.チャップマンらにより過酸化フタロイルを光分解することによって生成したo-ベンザインの赤外吸収スペクトルがマトリックス単離法で測定された。o-ベンザインの極限構造式としては三重結合を持つもの、ジラジカル構造を持つもの、集積二重結合構造を持つものが考えられる。チャップマンらは赤外吸収スペクトルの三重結合の吸収領域に近い2085cm-1に吸収が見られたことから、ベンザインの構造は三重結合に近いと提唱された。しかしこの吸収が本当にベンザインの三重結合によるものなのかについて長い間議論が続いた。最終的にはこの論争は1992年に行なわれた同位体置換したベンザインの赤外吸収スペクトルの測定により、三重結合による吸収が1846 cm-1にあることが帰属されて決着がついた。1986年にはマイクロ波吸収スペクトルの報告がされた。1996年にはマトリックス単離法で固体核磁気共鳴スペクトルの測定も成功している。
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