ストレンジ物質仮説にまつわる論争
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/31 15:42 UTC 版)
「ストレンジレット」の記事における「ストレンジ物質仮説にまつわる論争」の解説
ストレンジ物質仮説は未だ検証されていない仮説である。宇宙線や加速器から直接ストレンジレットを見つける試みは今のところ成功していない(前節参照)。もし中性子星と呼ばれている天体の表面がストレンジ物質でできていたならば、ストレンジ物質がゼロ気圧下で安定であることを示し、ストレンジ物質仮説を立証する証拠となるであろう。しかし、中性子星の表面がストレンジ物質でできていることを示す強力な証拠は存在しない(後述)。 この仮説に対するもうひとつ論争がある。もしこの仮説が正しかったとすれば全ての中性子星はストレンジ物質でできているはずであり、そうでなければストレンジ物質でできた星は一つもないはずである。もし最初は一部だけがストレンジ星であったとしても、衝突などによりストレンジレットは宇宙に飛び散るであろう。ストレンジレットはたった一つでも中性子星をストレンジ物質に変えることができるので、現在までには全ての中性子星がストレンジ星に変わっているはずである。この議論は未だに続いているが、もしそれが正しければ中性子星の地殻を調べることによりストレンジ物質仮説を反証できる可能性がある。 ストレンジ物質仮説の重要さゆえ、中性子星の地殻がストレンジ物質でできているか、通常の物質でできているかを調べる試みが進行中である。今までのところ、X線バースターは中性子星の地殻が通常の物質であれば現象論的に説明がうまく通ることと、マグネターの地震波観測から、通常の物質でできていることが示唆されている。
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