ジブチルエーテルとは? わかりやすく解説

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ジブチルエーテル

分子式C8H18O
その他の名称酸化ブチル、ジブチルオキシド、n-ブチルエーテル、Dibutyl oxide、n-Butyl ether、1-Butoxybutane、1,1'-Oxybisbutane、Di-n-butyl ether、ブチルエーテル、Butyl ether、ジ-n-ブチルエーテル、Dibutyl ether
体系名:1,1'-オキシビス[ブタン]、ジブチルエーテル、1,1'-オキシビスブタン、1-ブトキシブタン


ジブチルエーテル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/06 01:13 UTC 版)

ジブチルエーテル
特性
化学式 C8H18O
モル質量 130.23 g mol−1
外観 無色
密度 0.769 g/cm3, 液体
融点

-97.9 °C, 175 K, -144 °F

沸点

142 °C, 415 K, 288 °F

への溶解度 0.03%
蒸気圧 640 Pa
屈折率 (nD) 1.3992
粘度 0.741 cP (15 °C)
構造
双極子モーメント 1.18 D
危険性
引火点 25 °C, 298 K
発火点 194 °C, 467 K
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

ジブチルエーテル (dibutyl ether) は分子式C8H18Oで表されるエーテル類に属す化合物である。特有のエーテル臭を持つ無色の揮発性液体で、引火性が高い。消防法に定める第4類危険物 第2石油類に該当する[1]

液体のジブチルエーテルは水よりも軽いが、その蒸気は空気よりも重い。水に不溶であるが、アセトンジクロロプロパンなど、多くの有機溶媒に溶ける。この性質により、さまざまな化学反応やプロセスにおいて溶剤として使われている。

また、過酸化物が形成する危険性があるため、熱、光、空気から保護する必要がある。

合成法

ジブチルエーテルは硫酸を触媒とした1-ブタノールの脱水によって得られる。過剰の濃硫酸に1-ブタノールを加え、140 °Cから150 °Cに加熱すると、以下の反応が進行する。

2C4H10O + H2SO4 → C8H18O + H2O

この方法では、アルキル硫酸塩の形成(特に温度が低い場合)や、アルケンの生成(特に温度が高い場合)などの二次反応の影響を受ける。

また、工業規模では、アルミナ上で1-ブタノールの蒸気を300 °Cで脱水することによっても得られる。

反応性

エーテル結合は酸化剤、弱い還元剤、塩基に対して非常に安定である。しかし、濃酸(HIやHBrなど)の存在下では開裂を起こし、第1級ハロゲン化ブチルと1-ブタノールを生成する。さらに反応を進めると、第2級ハロゲン化ブチルも生成しうる。

酸素の存在下でジブチルエーテルを放置すると徐々に酸化されて、爆発性のペルオキシドやヒドロペルオキシドが生成する。

用途

  • グリニャール試薬合成の溶剤
  • 脂肪、油、有機酸、アルカロイド、天然および合成樹脂の溶剤
  • CDの製造工程での溶剤
  • 重合反応における共触媒
  • 農薬の製造
  • 溶媒抽出
  • エタノールブタノールとの混合溶媒はエチルセルロースの優れた溶剤である。

脚注

  1. ^ 法規情報 (東京化成工業株式会社)


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