サンゴの種間競争
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/05 23:22 UTC 版)
造礁サンゴは、先に述べたように光合成によって栄養を得ている。そのため、光にあたらなければ生育できない。したがって、サンゴ礁のサンゴが一面に並んだ場所では、他のサンゴの陰に入ると生育できなくなり、地上の植物で他の植物に覆われた植物が枯れるように、サンゴの種間でも光に対する競争が生じる。水中では太陽光線が水に吸収されるため、むしろ地上より過酷でもある[要出典]。 一般的には、枝を伸ばすようなサンゴは、塊状のサンゴの上に覆い被さるように伸びることができるので、有利であると考えられる。しかし、サンゴは肉食動物であり、他者を攻撃することが可能である。たとえば、塊状のサンゴの上に伸びた枝状のサンゴが、塊状サンゴの上だけは避けて伸び、枝状サンゴの伸びたコロニーの中に、窓を開けたように塊状サンゴが出ている例がある。これは、塊状のサンゴが樹枝状のサンゴを攻撃したことによって生じた現象である。 サンゴの群体同士が接触すると、その接触面で互いに攻撃を仕掛け、負けた方はその部分が死んでしまう。攻撃は触手を伸ばして刺胞で攻撃を仕掛けるほか、体内にある隔膜糸というものを伸ばして攻撃するものもある。隔膜糸にも刺胞がある。隔膜糸を用いた攻撃は1日程度の幅をもって行なわれる。ところが、攻撃を受けると、スィーパー触手といって、特別に長い触手を発達させ、それを伸ばして攻撃する種がある。このような種は、攻撃を受けた後、数週間かけてスィーパー触手を発達させ、反撃に出る。こちらの方が隔膜糸よりはるかに長いため、広い範囲にダメージを与え、場合によってはコロニー全体を殺すこともある。外に、ポリプそのものを長く伸ばす種も知られている。このように、それぞれに独特の攻撃法をもち、さまざまな条件で勝ち負けが変わるため、実際には野外でどれかの種が勝ち残って地域を独占するようなことは少なく、多くの種が共存している。
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