サンゴと褐虫藻
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/05 23:22 UTC 版)
造礁サンゴは必ず褐虫藻と共生している。これは、偶然ではなく、石灰質の骨格の速い成長には、褐虫藻が必要であるためらしい。その理由は必ずしも明らかではないが、いくつかの説がある。たとえば、褐虫藻が光合成することで、サンゴの体内から二酸化炭素を奪うことが炭酸カルシウムの沈着を促進するとか、石灰質沈着を阻害するリン酸を褐虫藻が奪うためとか、石灰化の基質となる有機化合物を褐虫藻が生産するためとか、さまざまな説明がなされている。いずれにせよ、造礁サンゴであるためには、褐虫藻が共生することが不可欠であるらしく、造礁サンゴが浅い海にしか住めないのも、熱帯海域にしか生息しないのも、それと関わりがあると見られる。 また、褐虫藻の光合成は、サンゴの栄養源にもなっている。褐虫藻の光合成産物は、直後に藻類からサンゴに移るらしく、その量は光合成総量の30%に達するとの説もある。また、サンゴは同時に動物食を行ない、それが摂取エネルギー量全体の中でどれくらいになるかは一概に言えないが、必須のものであるらしい。 なお、サンゴと共生藻類をまとめて考えた時、1日の光合成量と呼吸量を比べると、明らかに光合成量が多いという。すなわち、サンゴ礁の生態系において、サンゴは生産者の役割を果たしているといえる。
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