ベートーヴェン:「ゴッド・セイヴ・ザ・キング」による7つの変奏曲
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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ベートーヴェン:「ゴッド・セイヴ・ザ・キング」による7つの変奏曲 | 7 Variationen über "God save the King" WoO.78 | 作曲年: 1803年 出版年: 1804年 初版出版地/出版社: Bureau d'art et d'industrie |
作品解説
1803年にベートーヴェンは、イギリスの歌による変奏曲を2つ作曲した。そのひとつがこの《ゴッド・セイヴ・ザ・キング(神よ、王を助けたまえ)》による変奏曲である(もうひとつは、イギリスの作曲家の仮面劇を主題とした《ルール・ブリタニア》による変奏曲WoO 79)。
1803年、ベートーヴェンはイギリスのジョージ・トムソンと手紙のやり取りを始めた。トムソンはスコットランド人官吏でありながら楽譜商を営み、イギリス民謡を収集・出版した人物である。ベートーヴェンはその編曲や伴奏付けを依頼され、あまり知られていないが数多くの民謡編曲を残すことになった。実際に注文が始まったのは1806年からであるが、1803年のこの《ゴッド・セイヴ・ザ・キング》変奏曲および《ルール・ブリタニア》による変奏曲も、トムソンとの交流がきっかけになったのかもしれない。
「神よ、王を助けたまえ」という国王賛美の主題は、和音によって旋律が支えられる安定した書法で奏される。続く変奏は、ポリフォニックであったり、旋律が細分化されていたり、という変化に富んだものだが、どれも主題旋律が比較的しっかりと残っている。最後の第7変奏のコーダは、中間に6小節のヘ長調による主題回帰を挟み、最後はアレグロによる細かいパッセージで華やかに終わる。
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