コケ植物の花被
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/01 14:34 UTC 版)
コケ植物の中で、苔類の造卵器 (およびそこから発達した胞子体) は、さまざまな保護構造で囲まれていることが多い。茎葉性 (茎と葉からなる体をもつ) の種において、これらの保護構造のうち、カリプトラ (造卵器の一部に由来する構造) の外側にあり、苞葉 (雌苞葉) の内側にある袋状の構造は花被 (ペリアンス、perianth) とよばれる (日本語、英語ともに上記の花の花被と同一であるが、これとは全く異なる構造である) (下図a, b)。苔類の花被は、複数の葉が合着したものに由来すると考えられている。花被の有無や外形、開口部の形、表面構造などは、苔類の分類形質となる。 花被やその周囲の構造 (茎、苞葉、カリプトラ) が厚い多肉質の袋となったものは、ペリギニウム (perigynium) とよばれる。ペリギニウムのうち、カリプトラが関与しないものはシーロカウレ (coelocaule)、下曲して土中に入るものはマルスピウム (marsupium) とよばれる。 一方、ゼニゴケのような葉状性 (茎や葉を欠き、扁平な体をもつ) の苔類において、造卵器 (およびそこから発達した胞子体) を包む袋状の構造は偽花被 (仮花被、pseudoperianth) とよばれる (下図c, d)。 a. クラマゴケモドキ属 (ツボミゴケ綱) の発達中の胞子体は花被で包まれている. b. テガタゴケ属 (ツボミゴケ綱) の胞子体基部は花被で囲まれている. c. チヂレヤハズゴケ (ツボミゴケ綱) の胞子体基部は偽花被で囲まれている. d. ゼニゴケ (ゼニゴケ綱) の雌器托断面. A,B,C,H = さまざまな発生段階の胞子体, D = 足, E = 柄, F = カリプトラ, G = 偽花被, I = 胞子と弾糸. スケール = 0.9 mm.
※この「コケ植物の花被」の解説は、「花被」の解説の一部です。
「コケ植物の花被」を含む「花被」の記事については、「花被」の概要を参照ください。
- コケ植物の花被のページへのリンク