コアラレトロウイルス(KoRV)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/22 10:10 UTC 版)
「テナガザル白血病ウイルス」の記事における「コアラレトロウイルス(KoRV)」の解説
KoRVはガンマレトロウイルス属に属し、GaLVと80%の配列類似性を示しており近縁である。コアラレトロウイルスはオーストラレーシアの感染した飼育下や自由生活のコアラ集団内に存在するリンパ腫と白血病のコアラから分離された。したがって、journal of virologyに発表されたMolecular Dynamics and Mode of Transmission of Koala Retrovirus as It Invades and Spreads through a Wild Queensland Koala Populationによると、新生物を発症したコアラの80%がKoRV-B陽性であり、白血病およびリンパ腫のコアラがKoRVに広く感染していることを示している。現在、KoRVは生殖細胞系への感染を示す唯一のレトロウイルスであり、レトロウイルスの内因化を調節するプロセスを理解する上で研究の対象となっている。 KoRVには9つの亜種が発見されており、主要なウイルス株として、KoRV-A、KoRV-B、KoRV-Jがある。KoRV-Jは、免疫調節により、腫瘍性症候群およびクラミジア症を引き起こす。さらに、KoRV-Bは腹部リンパ腫、不特定の増殖性/骨髄状態、骨軟骨腫および中皮腫に関連していることが示されている。 Natureに発表されたTarlingtonらの研究では、クイーンズランド州で見つかったコアラ集団に生殖細胞系感染が存在する疫学的証拠を示しているが、オーストラリア南部の一部の個体はプロウイルスを欠いており、過去100年から200年の間にオーストラリア北部でレトロウイルスの内因化が始まったことを示唆している。 KoRV-Aの宿主ゲノムへの内因化の病理学的研究は、年間3%発生率を低下させる治療ワクチンの開発に不可欠である。
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