グローバルな淡水利用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/04 04:31 UTC 版)
「プラネタリー・バウンダリー」の記事における「グローバルな淡水利用」の解説
淡水利用の指標は、流水資源の消費を年間4000万立方キロメートル以下に抑えることとされる。淡水消費の92%は農業が占めており、生態系の崩壊を避けるために、灌漑などの方法で河川や帯水層を開発しないことが必要となる。また、世界の各河川の限界値も計算され、それぞれの河川が保持すべき最小限の水量も提案されている。 河川の淡水利用が増加したため、世界の河川の25%が海に到達していない。アラル海やチャド湖などの湖では淡水利用によって水位の減少が起きている。淡水利用の増加は、淡水種の生物の生息域の減少につながっており、淡水種の30%に絶滅の可能性がある。温暖化による氷河の減少は、山岳地の水不足の原因となっており、人口氷河や、山を白く塗って温度を下げる試みによって水資源の確保が行われている。淡水が少ない土地では、帯水層から地下水を汲み上げて使っているが、帯水層の中には数千年前に形成された枯渇性の水資源もある。こうした水は化石水(英語版)と呼ばれており、取り尽くすと補充できない。 直接的な利用に加えて、水を使って作られる財やサービスも重要となる。輸入する食品に水が使われていれば、国境を越えて間接的に水が取引されていることを表す。こうした水はバーチャルウォーターと呼ばれる。たとえば日本では食料自給率が低く、木材も大量に輸入している。このため水の消費量は国内の570億立方メートルに対して、国外の農産物関連は640億立方メートル、木材は471億立方メートルあり、国外の消費量が国内の2倍近くとなる。アメリカで消費される水の80%は国内だが、20%は中国の長江の水となっている。
※この「グローバルな淡水利用」の解説は、「プラネタリー・バウンダリー」の解説の一部です。
「グローバルな淡水利用」を含む「プラネタリー・バウンダリー」の記事については、「プラネタリー・バウンダリー」の概要を参照ください。
- グローバルな淡水利用のページへのリンク