クレイトン法とは? わかりやすく解説

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クレイトン法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/19 09:17 UTC 版)

クレイトン法(クレイトンほう、: Clayton Antitrust Act)とは、1914年に制定された米国連邦法で、反トラスト法の中心的な法律のひとつである。先に制定されたシャーマン法が抽象的な内容であったため、これを具体化するために制定された。

概要

クレイトン法では、価格差別、抱き合わせ取引、排他取引等を禁止し、企業結合を制限している。

価格差別の禁止(第2条)

ある独占企業が、異なる市場において需要弾力性が異なるため、同一製品であっても市場ごとに異なる価格を設定することを、価格差別[1]という。その製品に対する需要の価格弾力性の小さい市場においては、大きい市場におけるよりも、価格は高く設定される。このような分断された市場での価格差別は、需要側を需要の価格弾力性の異なるグループに区別することが可能であり、供給側の独占が可能であり、また裁定取引が不可能であるため、市場の競争を制限するような効果を生じることになり、禁止されている。これは、1936年のクレイトン法改正によって追加されたもので、この部分を特にロビンソン・パットマン法[2]と呼ぶこともある。

抱き合わせ取引、排他取引等の禁止(第3条)

  • 主たる商品に従たる商品を付加して販売することにより、従たる商品の市場でのシェアを高めるための販売を抱き合わせ取引[3]という。
  • 排他的取引[4]とは、買主がその必要とする商品の全てを売主からのみ購入するという条件のもとに商品を販売する行為である。

これら取引は主たる商品の市場で大きなシェアを占める企業が従たる商品の市場での競争業者を排除するための手段であり、市場の競争を阻害することになるため、禁止されている。

合併の制限(第7条)

合併やそれ以外の株式等の取得による企業の買収が市場の競争を制限するような場合には、これを禁止している。たとえば、競合品を供給している企業同士が合併すると、市場の占有率が高くなるが、このような行為により市場の競争が制限される場合は、違反となる。なお、一定規模以上の合併を行うにあたっては、クレイトン法第7A条に基づいて、司法省と連邦取引委員会に事前届出をしなければならない。事前届出にあたっては、合併当事者の事業内容や合併の内容等を開示しなければならず、届出から30日間は不作為期間として、合併を取り進めることが禁じられる。また、当局は、届出の内容を審査し、必要に応じて追加情報の提供を求めるとともに、不作為期間を延長することもできる。この間、当局は問題の合併に対してチャレンジするかどうかの判断をする。なお、クレイトン法のこの部分はハート・スコット・ロディノ法[5]と呼ばれることがある。

違反に対する制裁

違反に対する刑罰規定はない。

脚注

  1. ^ : price discrimination
  2. ^ : Robinson-Patman act
  3. ^ : tying arrangement
  4. ^ : exclusive dealing
  5. ^ : Hart-Scott-Rodino act

関連事項


クレイトン法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/17 15:12 UTC 版)

反トラスト法」の記事における「クレイトン法」の解説

詳細は「クレイトン法」を参照 クレイトン法は、独禁法強化するために1914年成立しその後幾多改正経て現在に至っている。クレイトン法は、上記のように、反トラスト法違反行為に関する私人による民事訴訟に関する規定整備し原告実損の3倍額賠償弁護士費用請求することを認めた。 その他、第3条によって排他的取引抱き合わせ販売禁止される排他的取引とは、買主がその必要とする商品全て売主からのみ購入するという条件のもとに商品販売する行為である。また、抱き合わせ販売とは、買主が必要としている商品販売する条件として、同時に必ずしも必要とされない別の商品購入することを義務付ける行為である。 クレイトン法はその他にも、第2条によって価格差別禁じている。これは、例えば、メーカーが、販売店Aには50ドル販売し販売店Bには60ドル販売するというような行為である。これは、1936年のクレイトン法改正によって追加されたもので、この部分を特にロビンソン・パットマン法 と呼ぶこともある。 さらに、クレイトン法第7条違法な合併禁じている。同条によると、「その効果として、競争実質的に制限するような、もしくは独占生じさせるような」合併禁じられる。クレイトン法第7条違反する合併に対しては、司法省連邦取引委員会合併差し止めたり合併後会社分割求めることができる。また、私人によるこのような請求も可能である。 なお、一定規模上の合併を行うにあたっては、クレイトン法第7A条に基づいて司法省連邦取引委員会事前届出をしなければならない事前届出にあたっては、合併当事者事業内容合併内容等開示しなければならず、届出から30日間不作為期間として、合併取り進めることが禁じられるまた、当局は、届出の内容審査し必要に応じて追加情報の提供を求めとともに不作為期間を延長するともできるこの間当局問題合併に対してチャレンジするかどうか判断をする。なお、クレイトン法のこの部分ハート・スコット・ロディノ法呼ばれることがある

※この「クレイトン法」の解説は、「反トラスト法」の解説の一部です。
「クレイトン法」を含む「反トラスト法」の記事については、「反トラスト法」の概要を参照ください。

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