クエスト・オブジェクト
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/28 08:09 UTC 版)
「クエスト (物語)」の記事における「クエスト・オブジェクト」の解説
主人公は通常、クエストによって何かまたは誰かを手に入れ、このオブジェクトを持って家や故郷に帰ることを目指している。そのオブジェクトは、主人公の人生に欠けているものを満たす新しい何かであったり、主人公や主人公を派遣する権限を持つ者から盗まれたものであったりする。 クエスト物語には、主人公がオブジェクトを手にして戻ることを望んでいない場合もある。ガラハッド卿の聖杯探しは、聖杯を見つけることが目的であって、聖杯を持って帰ることが目的ではない。また、戻ることが不可能な場合もある。ウェルギリウスの『アエネーイス』の冒頭でトロイを失ったアイネイアースは、故郷を求め放浪の旅を続けていたが、トロイに戻ってトロイを再建するのではなく、イタリアに定住した(ローマ人の祖先になった)のであった。 また、ジョーぜフ・キャンベルがクエスト文学の批判的分析である『千の顔を持つ英雄』の中で述べているように、主人公が冒険の終わりに戻ってきたとしても、自分になりすまそうとする英雄の偽者(英語版)に出くわすかもしれないし、主人公が帰還後に受ける最初の反応はその帰還を拒絶するものかもしれない。 誰かが主人公をクエストに派遣した場合、その理由が偽りで、派遣者は実際には主人公の死を願って、あるいは一時的に主人公を現場から遠ざけるために(その主張が誠実な理由からである場合も)、困難なクエストに彼を派遣する可能性がある。ただし、このような物語は通常、派遣者の正体が暴かれ、罰せられることで終わりを迎える。このような偽の目的を持つ物語には、イアーソーンとペルセウスの伝説、おとぎ話『踊る水、歌うリンゴ、そして話す鳥(英語版)』、『行くを知らず、来るを知らず(英語版)』、J・R・R・トールキンの『シルマリルの物語』に登場するベレンとルーシエン(英語版)の物語などがある。 実際のところ、クエスト・オブジェクトは、主人公の旅の都合の良い理由としてしか機能しない可能性がある。そのようなオブジェクトはマクガフィンと呼ばれている。主人公がいくつかのオブジェクトを求めて旅をしていても、それが旅の都合の良い理由でしかない場合、それらはプロットクーポンと呼ばれる。
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