キー・アクション
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 09:00 UTC 版)
キー・アクションは鍵盤の動きによって風箱のパレットを開閉するための仕組みである。 トラッカー・アクションは鍵盤とパレットが機械的に直接結合しているものであり、古くから存在するもっとも基本的なものである。鍵盤の動きが直接パレットを動かすため微細なニュアンスの表現が可能である。また、風圧によってキーを押したときに独特の抵抗感を持つ感触が得られ、これが演奏者と楽器の結びつきを強める。これらの長所から、現代でもトラッカー・アクションは広く使用されている。 バーカー・レバー・アクションは、空気圧のモーターを用いて鍵盤操作に要する力を軽減したものである。一般に大オルガンなどに組み込まれた装置で、中小規模のオルガンでは使われない。19世紀初頭のオルガンは高い風圧のために鍵盤が非常に重くなり、オルガン奏者に過大な負担を強いていた。バーカー(Charles Spackmann Barker、英)が1832年にバーカー・レバーを発明、1839年、フランスで特許を得た。カヴァイエ=コル (Aristide Cavaillé-Coll) はこの発明を自身設計のオルガンに大々的に組み込んだ。バーカー・レバー・アクションはトラッカー・アクションに近いキーの感触を持つが、パレットを開閉する速度の制御はできない。 19世紀後半にはニューマティック・アクションが開発された。これは直接的な結合をすべて空気管で置き換えたもので、演奏台をパイプから離れた位置に置くこともできる。しかしトラッカー・アクションの持っていた感触はなく、しばしば反応が鈍い。 エレクトリック・アクションは電磁石を利用してパレットを開閉するものである。鍵盤と風箱の間は電線でつながれるため、演奏台の配置は完全に自由である。電気の伝達速度は瞬間的であるが、アクションの作動速度は開閉機構の品質により、必ずしも瞬間的な反応を示すわけではない。鍵盤は単なる電気スイッチであるが、トラッカー・アクションに似せた感触が作られることもある。
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