キリンソウ属とは? わかりやすく解説

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キリンソウ属

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/21 05:21 UTC 版)

キリンソウ属
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : バラ上類 Superrosids
: ユキノシタ目 Saxifragales
: ベンケイソウ科 Crassulaceae
: キリンソウ属 Phedimus
学名
Phedimus Raf.[1][2]
タイプ種
Phedimus stellatus (L.) Raf.[2]
和名
キリンソウ属
  • 本文参照
ホソバノキリンソウ
エゾノキリンソウ
ヒメキリンソウ

キリンソウ属(キリンソウぞく、学名Phedimus)は、ベンケイソウ科の1つ。これまで、マンネングサ属 Sedum に分類されてきた経過にある[1]

特徴

基本的に多年草であり、地下茎があるものが多い。は扁平で、多くは互生し、まれに対生のものがあり、葉の縁に鋸歯がある。花茎は基部で木質化することがあり、枯死後であっても数年、残存するすることがある。花序は集散状につき、多数のが密集し、花柄の基部に葉状の苞葉がある。花は長日性で、春から夏にかけて咲き、5数性または6数性で、上向きに咲き、短い花柄があるか無柄になる。は緑色の肉質で、基部で合着して筒状になる。花弁は離生し、ふつう濃黄色、まれに紅紫色、ピンク色、白色になる種があり、花時に開出する。雄蕊は2輪につく。雌蕊は基部で合着し、子房の基部は細まらず、背面の基部に蜜腺があり、腹側の中央部分が膨らむ。胎座は各心皮の辺縁につく。果実は上から見ると星状の袋果になる。種子は卵円形で長さ1-1.4mmになり、微細な乳頭状突起におおわれる[1]

分布

ヨーロッパ地中海地域からアジアにかけて分布し、10数種ある[1]

分類

本属はこれまでマンネングサ属に分類されてきたが、本属の種の多くが地下茎をもつなど、形態的に大きな違いがあった。分子系統学での研究により、マンネングサ属との異質性が明らかとなり、別の属として扱われるようになった[1]

日本に分布する種

  • キリンソウ Phedimus aizoon (L.) 't Hart var. floribundus (Nakai) H.Ohba[3] - 花茎は径2-3mm、高さ10-50cmになり、多数束生する。葉は互生し、広倒披針形から広倒卵形、上半分に鈍鋸歯がある。北海道、本州、四国、九州、朝鮮半島中国大陸シベリア東部に分布する。山地草原、林縁、崖、海岸などに生育する。海岸生の個体は葉は大きい傾向がある[1]
    • ホソバノキリンソウ Phedimus aizoon (L.) 't Hart var. aizoon[4] - キリンソウの分類上の基本変種。花茎は地中に残存する葉腋から出て、高さ40cmになり1(-2)本が直立する。葉は互生し、菱状楕円形から楕円形で葉先はとがり、縁の下半分にも鋸歯がある。南千島、北海道、本州中部地方以北に分布し、山地草原などに生育する。朝鮮半島、中国大陸、シベリアにも分布する[1][5]
  • エゾノキリンソウ Phedimus kamtschaticus (Fisch.) 't Hart[6] - 花茎はやや繊細で、高さ5-10cmになり、多数束生し、花茎の下半分は地上を這い、上半分が斜上する。葉は互生し、小型で倒披針形、縁に欠刻状の鋸歯がある。南千島、北海道、北千島カムチャツカ半島に分布する。岩礫地に生育する[1]
  • ヒメキリンソウ Phedimus sikokianus (Maxim. ex Makino) 't Hart[7] - 花茎は高さ8cmになり、直立する。葉は対生し、広倒披針形から倒卵形、縁の上半分に波状の鋸歯がある。四国に分布し、山地の岩礫地に生育する[1]。絶滅危惧IB類(EN)(環境省)[8]

その他の主な種

  • Phedimus hybridus (L.) 't Hart[9] - 中国大陸、モンゴル、ロシアに分布。
  • Phedimus middendorffianus (Maxim.) 't Hart[10] - 中国大陸、朝鮮半島、ロシアに分布。
  • Phedimus selskianus (Regel et Maack) 't Hart[11] - 中国大陸、朝鮮半島、ロシアに分布。

脚注

  1. ^ a b c d e f g h i 『改訂新版 日本の野生植物 2』pp.221-222
  2. ^ a b Phedimus Raf., Tropicos
  3. ^ キリンソウ 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  4. ^ ホソバノキリンソウ 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  5. ^ 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.528
  6. ^ エゾノキリンソウ 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  7. ^ ヒメキリンソウ 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  8. ^ Phedimus、日本のレッドデータ検索システム
  9. ^ イヌキリンソウ 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  10. ^ ヤナギバキリンソウ 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  11. ^ ケキリンソウ 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)

参考文献



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