キャリア・エンベロープオフセット制御
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/25 09:42 UTC 版)
「周波数コム」の記事における「キャリア・エンベロープオフセット制御」の解説
能動的安定化を行わない場合、繰り返し率とキャリア・エンベロープオフセット周波数は自由にドリフトする。これらは共振器長さ、レーザー光学素子の屈折率、カー効果など非線形効果の変化につれて変動する。繰り返し率は圧電トランスデューサにより鏡を動かし、共振器長さを変化させることにより安定化させることができる。 分散制御にプリズムを利用する Ti:サファイアレーザーでは、キャリア・エンベロープオフセット周波数はプリズム対の端の高反射率鏡を傾けることにより制御することができる。これは圧電トランスデューサを使って行うことができる。 高繰り返し率 Ti:サファイアリングレーザーでは、ダブルチャープミラーが分散制御に用いられることが多く、音響光学変調器(英語版)によるポンプパワーの変調がオフセット周波数の制御に用いられることが多い。位相滑りはカー効果に強く依存し、ポンプパワーを変化させることによりレーザーパルスのピーク強度を変化させることができ、したがってカー位相シフトを変化させることができる。このシフトは 6 rad よりもはるかに小さいため、粗い調整のためには追加の機器が必要となる。1対の楔の片方を共振器内レーザービームに出し入れすることによりその目的を達することができる。 実用的光周波数コムを実現させたブレークスルーは、キャリア・エンベロープオフセット周波数を安定させる技術が開発されたことであった。 キャリア・エンベロープオフセット周波数を安定化するもうひとつの方法として、差周波数発生 (DHG) を用いて完全に打ち消す方法がある。広帯域化されたスペクトルの両端の光の差周波数を非線形結晶内で発生させるとき、生じる光周波数コムはキャリア・エンベロープオフセットがない。なぜなら、DHG に寄与する二つのスペクトル部分は全く同じキャリア・エンベロープオフセット周波数を持つからである。これは1999年に初めて提案され、近年通信波長帯のエルビウムファイバー光周波数コムを使い実証された。このシンプルなアプローチには、それまでの安定化技術には必要だった電子的フィードバックループが必要でないという利点がある。このことから、環境的摂動に対してよりロバストで安定となる。
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