カールソンの公式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/09/23 15:42 UTC 版)
「赤方偏移の量子化」の記事における「カールソンの公式」の解説
ほとんどの研究者は様々な星や複合天体(銀河など)を対象とするが、カールソンとバービッジは孤立クエーサーやコンパクト銀河などの比較的単純な天体に対象を絞って研究を行った。多数の天体についての統計を取った結果、より被選好的な赤方偏移の値についてのカールソンの公式が得られた。すなわち、多くの赤方偏移 Z {\displaystyle Z} (周波数シフトを元の周波数で割ったもの)は Z ( n ) = n K {\displaystyle Z(n)=nK} 付近に集中する。ここで、 K = 0.061 {\displaystyle K=0.061} とし、 n {\displaystyle n} は 3, 4, 6, ... の整数値とする。Moret-Baillyによれば、この奇妙な整数の分布は以下のように説明できる。 3 K = 0.183 {\displaystyle 3K=0.183} は水素原子のライマンベータ周波数からライマンアルファ周波数までのシフト量0.1852 ≈ 3 ∗ 0.0617と近く、 4 K = 0.244 {\displaystyle 4K=0.244} は同じくライマンガンマからライマンアルファまでのシフト量 0.25 = 4 ∗ 0.0625と近い。カールソンの公式に登場する2つのパラメータは説明されたが、しかしここでいう赤方偏移はどのような水素の分光学的性質に起因しているのだろうか?J. C. Pecker は非コヒーレントラマン効果を提案したが、非コヒーレントラマン効果は周波数を足し上げるのであってシフトさせるのではないので違うはずである。ただし、研究室においてはフェムト秒レーザーパルスを用いればコヒーレントラマンは周波数をシフトする。ナノ秒パルスを用いれば瞬間的誘導ラマン散乱 (ISRS) が励起された水素原子において発生し、時間コヒーレンスのある光が発せられる。超低圧の原子雲の中においては、クエーサーの周囲の比較的冷たい原子状水素が光によって構造を持つことになる。ライマンアルファ線に相当する光が水素原子に吸収されると原子は励起され、これにより既存の吸収線がライマンアルファ周波数に達するまでシフトされることになる。全てのガス線は弱いISRSが高い周波数の光の吸収を起こすまで吸収され、その後赤方偏移が再び開始する。 3 K {\displaystyle 3K} および 4 K {\displaystyle 4K} のシフトはクエーサーのライマンの森にある類似の吸収線の間を繋いでいる。 銀河は大きすぎるので、その周辺の空間は確実な構造を持つことはできない。このため、ティフトと支持者らは確実な結果を得ることはできなかった。極めて光度の高い超新星の周りでは水素原子が励起されるほど熱くなっており、カールソンの公式は破れるので、局所的に大きな赤方偏移は銀河マップにおける「空洞」として理解される。
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