カルロス・サリナス・デ・ゴルタリ大統領
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 09:45 UTC 版)
「メキシコ麻薬戦争」の記事における「カルロス・サリナス・デ・ゴルタリ大統領」の解説
多くの要因が暴力の拡大に貢献しているが、メキシコの都市のセキュリティーアナリストは、制度的革命党(PRI)によって管理された、メキシコ政府と麻薬密売組織との間に存在した「長年の暗黙の了解」が、1980年代後半以降に、冷戦終結によりアメリカがメキシコの反共独裁政党である制度的革命党を支援する必然性が無くなったこと、つまり、制度的革命党の政権を握る力が失われつつあったことによって解消されたことが、不幸の増加の原因であると見ている。 メキシコ政府と麻薬密売組織との間に存在した「長年の暗黙の了解」が解消されるきっかけとなったのは、制度的革命党の腐敗し堕落した政治家側にもあった。まさに1980年代後半から1990年代にかけて制度的革命党選出の大統領となったカルロス・サリナス・デ・ゴルタリは、汚職追放を推し進めることを公約したことなどから高潔な「改革派」として保守派以外からの幅広い層からも高い支持を受けており、またアメリカとカナダとの貿易協定「北米自由貿易協定(NAFTA)」を推し進めた。しかし、大統領現職時代より兄弟を通じてカルテルに関わっていることが噂となり、大統領辞任翌年の1995年1月には、実兄のラウル・サリナスが麻薬取引に関与して逮捕されたことを受け、同年3月にはアメリカに亡命した。 敵対する麻薬カルテル間の闘争は、1989年にメキシコでコカイン会社を経営していたミゲル・アンヘル・フェリクス・ガジャルド(英語版)の逮捕後に本格的に始まった。1990年代の後期の間は抗争が小康状態にあったが、2000年以降、暴力は着実に深刻化している。実際に、カルロス・サリナス・デ・ゴルタリ大統領末弟のエンリケ・サリナスが、2004年12月にメキシコ最大の麻薬カルテルの「ガルフ・カルテル」と緊密な関係にあったと噂されていた他の麻薬カルテルによって暗殺されている
※この「カルロス・サリナス・デ・ゴルタリ大統領」の解説は、「メキシコ麻薬戦争」の解説の一部です。
「カルロス・サリナス・デ・ゴルタリ大統領」を含む「メキシコ麻薬戦争」の記事については、「メキシコ麻薬戦争」の概要を参照ください。
- カルロス・サリナス・デ・ゴルタリ大統領のページへのリンク