カモスタットおよびナファモスタット (セリンプロテアーゼ阻害剤)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/19 21:16 UTC 版)
「COVID-19に対する薬剤転用研究」の記事における「カモスタットおよびナファモスタット (セリンプロテアーゼ阻害剤)」の解説
ドイツの研究によればセリンプロテアーゼ阻害剤のカモスタットはin vitroにおいてSARS-CoV-2が細胞へと侵入する際に使われる宿主側酵素のTMPRSS2プロテアーゼを阻害するため、新型コロナウイルスに効果のある可能性がある。SARSコロナウイルスでは動物実験においてカモスタット単独投与の効果が確認されており、その用量をヒトに当てはめると日本で既に承認されている量でも効果のある可能性がある。東京大学大学院医学系研究科は新型コロナウイルス感染症患者に対するカモスタット投与の臨床研究を計画している。 また中国の研究によればセリンプロテアーゼ阻害剤のナファモスタットはVero E6細胞においてSARS-CoV-2の感染を防いだものの、その50%効果濃度 (EC50値) は高めの22.50μMとなっている。東京大学医科学研究所は新型コロナウイルス患者に対しナファモスタットの試験投与を行う予定となっている。同研究所の研究成果として、SARS-CoV-2 Sタンパク質による膜融合において、ナファモスタットはカモスタットのおよそ10分の1の濃度で阻害効果を示すことが発表された。 日本ではカモスタットは慢性膵炎や術後逆流性食道炎に、ナファモスタットは膵炎や播種性血管内凝固症候群などに対して保険適用されている。 カモスタットおよびナファモスタットの副作用として、ショック、アナフィラキシー様症状などのアレルギー、過敏症、高カリウム血症、低ナトリウム血症、血小板や白血球減少、肝機能障害、黄疸などが報告されている。
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