カメラ・ルシダの使用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/03 09:42 UTC 版)
「カメラ・ルシダ」の記事における「カメラ・ルシダの使用」の解説
カメラ・ルシダを使う際に白い紙を用いると、白い紙の画像が映し出される風景の光を消し去ってしまうので風景を見ることが難しくなってしまう。そのため、風景と紙を両方ともよく見るために、黒い紙に白い鉛筆でスケッチすることもある。 19世紀初頭、カメラ・ルシダは旅行者や画家らによって明るい場所でのスケッチなどに広く使われていた。写真技術の先駆者の一人であるイギリスの貴族ウィリアム・ヘンリー・フォックス・タルボットは、1833年にイタリアへ新婚旅行に行った際、カメラ・ルシダを使って旅先の風景をスケッチした。しかしカメラ・ルシダで一生懸命描いたスケッチの出来ががっかりするものだったため、自然の風景を紙に刻み付けるための手段を求めて写真(カロタイプ)を発明するに至ったと、彼は後に述べている。 カメラ・ルシダは今日でも画材店などで手に入ることはあるが、知名度が高かったりよく使われていたりする道具ではない。しかし20世紀半ばまでは、科学者はカメラ・ルシダを使用して微生物や細胞など微細なもののスケッチを描いていた。かつて顕微鏡写真は複製するのが高価であり、また出版物に載せる論文などに微細な構造の鮮明な図像を使おうとする場合、顕微鏡写真よりもカメラ・ルシダで描いたイラストのほうが簡単に作図できてしかもわかりやすいという事情もあった。このため、教科書や論文で長年にわたり使われている組織学や微小解剖(microanatomy)に関するイラストや図像は、顕微鏡写真よりカメラ・ルシダを使って描かれたものが多い。
※この「カメラ・ルシダの使用」の解説は、「カメラ・ルシダ」の解説の一部です。
「カメラ・ルシダの使用」を含む「カメラ・ルシダ」の記事については、「カメラ・ルシダ」の概要を参照ください。
- カメラルシダの使用のページへのリンク