オルト水素とパラ水素
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 04:19 UTC 版)
水素分子は、それぞれの原子核(プロトン)の核スピンの配向により、オルト(ortho)とパラ(para)の2種類の異性体が存在する。オルト水素は、互いの原子核のスピンの向きが平行で、パラ水素ではスピンの向きが反平行である。この2つは、化学的性質に違いがないが、物理的性質(比熱や熱伝導率など)がかなり異なる。これは内部エネルギーにある差によるもので、パラ水素側が低い。統計的な重みが大きいほうをオルトと呼ぶ。 常温以上では、オルト水素とパラ水素の存在比はおよそ3:1であるが、低温になるほどパラ水素の存在比が増し、絶対零度付近ではほぼ100パーセントパラ水素となる。ただし、このオルト-パラ変換はスピン反転を伴うために、触媒を用いない場合極めて遅く、触媒を用いずに水素を液化すると、液化した後もオルト-パラ変換に伴い両者のエネルギー差に相当する熱が発生するため、液化水素が気化してしまう。これを水素のボイル・オフ問題という。オルト‐パラ変換を起こす触媒は、活性炭や鉄などの金属の一部、常磁性物質またはイオンなどがある。
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