オゼッラ・FA1Eとは? わかりやすく解説

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オゼッラ・FA1E

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/12/16 01:48 UTC 版)

オゼッラ・FA1E
オゼッラ・FA1E、
ピエルカルロ・ギンザーニ
カテゴリー F1
コンストラクター オゼッラ
デザイナー トニー・サウスゲイト
先代 オゼッラ・FA1D
後継 オゼッラ・FA1F
主要諸元
シャシー アルミニウムおよびカーボンファイバーモノコック
サスペンション(前) Koni
サスペンション(後) Koni
トレッド 前:1,750 mm (69 in)
後:1,670 mm (66 in)
ホイールベース 2,750 mm (108 in)
エンジン アルファロメオ 1260 2,995 cc (182.8 cu in), V12, NA,
トランスミッション ヒューランド FGA 5速
重量 565 kg (1,250 lb)
燃料 アジップ
タイヤ ミシュラン, ピレリ
主要成績
チーム オゼッラ・スクアドラ・コルセ
ドライバー 32. ピエルカルロ・ギンザーニ
31. コラード・ファビ
30. ヨー・ガルトナー
出走時期 1983年 - 1984年
初戦 1983年サンマリノグランプリ
出走
回数
優勝
回数
ポール
ポジション
ファステスト
ラップ
14 0 0 0
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オゼッラ・FA1E (Osella FA1E) はオゼッラ・スクアドラ・コルセ1983年F1世界選手権に投入したフォーミュラ1カー。デザイナーはトニー・サウスゲイト。

FA1Eはアルファロメオ製エンジンを搭載した初の車であり、技術的に問題があり、信頼性に欠ける車であった。完走したのは3度のみで、いずれもポイント圏外であった。グスタフ・ブルナーはFA1Eを1983年シーズンにおける最悪の車だと評した[1]

背景

アルファロメオ製エンジンを使用するという決定は、従来のコスワースDFVエンジンはもはやフェラーリホンダTAG-ポルシェのターボエンジンと競合できなかったことから実現した。コスワースは1983年中頃から新型のより強力なバージョンであるDFYを提供していたが、DFVより20馬力から30馬力ほどしか上回ることができず、しかも開発コストを負担した一部のチームにしか提供されなかった。オゼッラはそれらの中に含まれなかった[2]。オゼッラはアルファロメオから旧型の自然吸気エンジンを受け取った。これを搭載したFA1Eは過渡的なモデルであり、ターボエンジン搭載のFA1Fが投入されるまでの場つなぎ的役割を果たした。

開発

FA1Eは前作のFA1Dとは異なりコスワースDFV V型8気筒エンジンに代わってアルファロメオ1260 V型12気筒エンジンを搭載した。しかしながら、エンジン以外の部分はほとんど同一であり、モノコックやサスペンションも同じで、ボディパーツも同様であった[3]。改修を担当したのはトニー・サウスゲイトであった。

アルファロメオのティーポ1260は3.0リッターの自然吸気、バンク角60度のV型12気筒エンジンであった。このエンジンは1979年にアルファロメオのワークスチームが初めて実戦に投入し、82年まで使用した物であった。アルファロメオのワークスチームは1983年からターボエンジンを使用していたため、その後は使用されていなかった。エンツォ・オゼッラは自らのファクトリーで数台のエンジンブロックを引き継いだ[4]。アルファロメオはもはや自然吸気エンジンの開発を停止していたため、その技術レベルは時代遅れの物であった[5]。アルファの自然吸気エンジンのパフォーマンスレベルはDFYに相当する物であったが[6]、重量はDFVやDFYよりも相当重く、燃料消費も多かったためパフォーマンス上の利点は帳消しとなった。加えて、ティーポ1260はコスワース製エンジンよりも信頼性に欠けていた。それまでのアルファロメオのファクトリーチームのように、1983年のオゼッラはトラブルの大半がエンジントラブルであった[7]

FA1Eは3台が製作された。1号車はFA1Dから改修された。これは新しいエンジンを搭載してその他の部分を調整した物であった。残る2台は新造された[3]。そのため、1号車とは細部で異なる点が多い[8]

レース戦績

1983年

FA1Eの1号車は第4戦のサンマリノでピエルカルロ・ギンザーニに与えられた。そこから第8戦カナダまで、ギンザーニがFA1Eを、セカンドドライバーのコラード・ファビがFA1Dをドライブした。ギンザーニは4戦で予選落ちし、唯一予選を通過したデトロイトも4周目にオーバーヒートでリタイアとなった。両者がFA1Eを使うようになったのは第9戦のシルバーストーンからであった。ギンザーニは新造された2号車を使用したがリタイアとなった。その後の6戦でギンザーニは3号車を使用し、5戦で予選通過したが、完走したのはオーストリアのみで、11位となった。ファビは7戦でFA1Eを使用し予選通過は4回、2度の完走を果たしている。オーストリアではチームメイトのギンザーニを上回る10位、オランダでは11位でフィニッシュしている。

1984年

1984年でFA1Eが使用されたのは1回のみで、ヨー・ガルトナーがセカンドドライバーとしてデビューしたサンマリノグランプリで使用された。チームメイトのギンザーニは既にターボエンジンを搭載したFA1Fを使用していた。ギンザーニは予選落ちした物の、ガルトナーは最下位の26位で予選を通過、決勝では47周目にギアボックスのトラブルでリタイアした。

F1における全成績

(key) (太字ポールポジション

チーム エンジン タイヤ ドライバー 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 ポイント 順位
1983年 オゼッラ・スクアドラ・コルセ アルファロメオ 1260 3.0 V12 M BRA
USW
FRA
SMR
MON
BEL
DET
CAN
GBR
GER
AUT
NED
ITA
EUR
RSA
0 NC
コラード・ファビ DNQ DNQ 10 11 Ret DNQ Ret
ピエルカルロ・ギンザーニ DNQ DNQ DNQ Ret DNQ Ret Ret 11 DNQ Ret Ret Ret
1984年 オゼッラ・スクアドラ・コルセ アルファロメオ 1260 3.0 V12 P BRA
RSA
BEL
SMR
FRA
MON
CAN
DET
USA
GBR
GER
AUT
NED
ITA
EUR
POR
2* 12位
ヨー・ガルトナー Ret
  • FA1Fによるポイントも含む。

参考文献

  • Adriano Cimarosti: Das Jahrhundert des Rennsports. Autos, Strecken und Piloten. Motorbuch-Verlag, Stuttgart 1997, ISBN 3-613-01848-9.(ドイツ語)
  • David Hodges: Rennwagen von A–Z nach 1945. Motorbuch-Verlag, Stuttgart 1994, ISBN 3-613-01477-7.(ドイツ語)
  • David Hodges: A–Z of Grand Prix Cars. Crowood Press, Marlborough 2001, ISBN 1-86126-339-2.(英語)
  • Pierre Ménard: La Grande Encyclopédie de la Formule 1. 2. Auflage. Chronosports, St. Sulpice 2000, ISBN 2-940125-45-7.(フランス語)

参照

  1. ^ Motorsport aktuell. Heft 29, 1984.
  2. ^ Cimarosti: Das Jahrhundert des Rennsports. 1997, S. 327. DFYエンジンは1983年中盤からマクラーレンティレルウィリアムズによって使用された。
  3. ^ a b Hodges: A–Z of Grand Prix Cars. 2001, S. 185.
  4. ^ Cimarosti: Das Jahrhundert des Rennsports. 1997, S. 327.
  5. ^ Motorsport aktuell. Heft 20, 1984, S. 9.
  6. ^ Cimarosti: Das Jahrhundert des Rennsports. 1997, S. 314 und 342.
  7. ^ Ménard: La grande Encyclopédie de la Formule 1. 2000, S. 462.
  8. ^ Hodges: Rennwagen von A–Z nach 1945. 1994, S. 205.

外部リンク




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