エイナル・サンバルスケルヴィル
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エイナル・エインドリザソン・サンバルスケルヴィル(英:Einar Eindridesson Thambarskelfir、古ノルド語:Einarr Þambarskelfir、現代ノルウェー語:Einar Tambarskjelve。エイナル・タンバースケルヴェ[注釈 1]とも。980年頃 - 1050年頃)は、11世紀頃のノルウェーの有力な貴族であり政治家である。彼はオーラヴ・ハラルズソンに対する彼らの抵抗において領主達の先頭に立った[1]。
注釈
- ^ グレンベック, V. 『北欧神話と伝説』(山室静訳、新潮社、1971年。ISBN 978-4-10-502501-4)p. 35で確認したカタカナ表記。
- ^ 『ヘイムスクリングラ』の谷口訳においては、「腹ゆすり」または「太鼓腹の」と訳されている。
- ^ カールヴ・アールナソンと共にオーラヴ王と戦った〈犬のソーリル〉は、エルサレムに行かざるを得なくなり、ノルウェーに戻ることはなかった[11]。
- ^ 『ハラルド苛烈王のサガ』によれば、農民達からのエイナルへの支持が篤いことからハラルド王の怒りを買い、両者はたびたび論争を繰り返し、エイナルも身辺の護衛を増やすなど王を警戒するようになった。王がいる町にエイナルが着いた時、王は「エイナルが我々を国から追い出そうとしている」といった事を呟いた。間もなく、以前エイナルの元にいた男が窃盗の罪で捕まって集会場に引き出されると、エイナルは武装した部下達と共に男を集会場から連れ出した。この事について話し合うため、王の宮殿の集会場でエイナルと王が面会することになった。集会場に入ったエイナルは王の部下達に襲われて殺され、集会場の外にいた息子エインドリジが助けに入ったが彼も殺された。同行していたエイナルの部下達は王を恐れて復讐ができなかったが、ハラルド王はこの事件によって評判が悪くなったという[13]。
出典
- ^ "Einar Tambarskjelve", Store norske leksikon (ノルウェー語)
- ^ "King Olaf Tryggvesson's Saga", The Heimskringla; or, Chronicle of the Kings of Norway: Translated from the Icelandic of Snorro Sturleson, with a preliminary dissertation, tr. Samuel Laing, 3 volumes, London: Longman, 1844, OCLC 504839499, Volume 1, p. 479; online at Project Gutenberg
- ^ スノッリ,谷口訳 2009a, pp. 164-165.(「オーラヴ・トリュッグヴァソンのサガ」第108章 〈太鼓腹のエイナル〉)
- ^ スノッリ,谷口訳 2009b, pp. 198-199.(「オーラヴ聖王のサガ」第21章 〈腹ゆすりのエイナル〉)
- ^ スノッリ,谷口訳 2009b, pp. 202-203.(「オーラヴ聖王のサガ」第24章 エイリーク侯)
- ^ Hellberg, Staffan, Slaget vid Nesjar och Sven jarl Håkonsson (Scripta Islandica, Uppsala 1972) (スウェーデン語)
- ^ スノッリ,谷口訳 2010a, pp. 326-328.(「オーラヴ聖王のサガ」第244章 オーラヴ王の聖遺物)
- ^ スノッリ,谷口訳 2010a, p. 324.(「オーラヴ聖王のサガ」第241章 〈腹ゆすりのエイナル〉)
- ^ a b スノッリ,谷口訳 2010a, pp. 321-323.(「オーラヴ聖王のサガ」第239章 スヴェイン・アールヴィーヴソン)
- ^ a b スノッリ,谷口訳 2010a, pp. 339-340.(「オーラヴ聖王のサガ」第251章 〈腹ゆすりのエイナル〉とカールヴ・アールナソンが国を去ること)
- ^ スノッリ,谷口訳 2010b, p. 359.(「マグヌース善王のサガ」第11章 〈犬のソーリル〉)
- ^ "Einar Eindridesson Tambarskjelve", Store norske leksikon (ノルウェー語)
- ^ a b スノッリ,谷口訳 2010c, pp. 66-69.(「ハラルド苛烈王のサガ」第43章 さらに〈腹ゆすりのエイナル〉のこと、第44章 エイナルとエインドリジの死)
- ^ (英語) Ormurin Langi. - ウィキソース.
- ^ K・ブリクセン 『草原に落ちる影』筑摩書房社、1998年、19頁。
- ^ “獅子の如く 5巻”. Googleブックス. 2016年2月20日閲覧。
- 1 エイナル・サンバルスケルヴィルとは
- 2 エイナル・サンバルスケルヴィルの概要
- 3 時流の変わり目
- 4 他作品での言及
エイナル・サンバルスケルヴィル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/14 06:16 UTC 版)
「スヴォルドの海戦」の記事における「エイナル・サンバルスケルヴィル」の解説
スヴォルドの海戦でもっとも有名な逸話が、オーラヴ軍の弓の名手で、スヴォルドの海戦後にはしたたかな政治家となったエイナル・サンバルスケルヴィル(太鼓腹のエイナル)のエピソードである。『ヘイムスクリングラ』によれば、エイナルは窮地に陥ったオーラヴ王を救おうと敵将エイリークを狙って矢をはなった: 『...王の射手エーナール・タンバルスケルヴェはエリック伯をねらって矢を送ると、伯の頭上をかすめて舵柄にぐざと立つ。伯はかたわらのフィンを呼んで「あの帆柱のそばの背の高いやつを射よ」と命ずる。フィンの射た矢は、まさに放たんとするエーナールの弓のただ中にあたって弓は両断する。オラーフが「すさまじい音をして折れ落ちたのは何か」と聞くと、 エーナールが「王様、あなたの手からノルウェーが」と答えた。 王が代わりに自分の弓を与えたのを引き絞ってみて「弱い弱い、大王の弓にはあまり弱い」と言って弓を投げ捨て、剣と盾とを取って勇ましく戦った。(寺田寅彦随筆『春寒』より) 同じ逸話は『デンマーク人の事績』にも採録されているが、そこでエイナルが狙ったのはエイリークではなくスヴェン王であった。
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