ウェヌスの試練
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/16 18:25 UTC 版)
一方ウェヌスは息子の醜聞に激怒し、ウェヌス自らの接吻を与えるという懸賞までかけてプシューケーを捕らえようとした。恐れたプシューケーはケレースに庇護を求めるが、ケレースは「ウェヌスとのつきあいがある」との理由で拒否した。そこで今度はユーノーに庇護を求めるが、ユーノーは「逃亡した奴婢をかくまってはならないことになっている」と法律を理由に拒否した。 かくて、愛を追いながらも世間のしがらみに行き場所をなくしたプシューケーは、観念してウェヌスのもとに出頭した。ウェヌスはプシューケーを捕らえて折檻し、次々と無理難題を押し付けた。しかし、大量の穀物の選別を命じられた際はどこからともなく蟻がやってきて手助けしてくれたり、凶暴な金の羊の毛を取ってくるよう命じられた際には河辺の葦が羊毛の取り方を助言してくれて、竜の棲む泉から水を汲むよう命じられた際はクピードーに可愛がられていたユーピテルの大鷲が水を汲んで来てくれるなど、不思議な助けを受けてウェヌスの難題を乗り越える。 業を煮やしたウェヌスは息子クピードーの火傷の介抱で衰えた美貌を補うために冥府の女王プロセルピナに美をわけてもらってくるよう命ずる。首尾よく美をわけてもらったプシューケーだが、自分の容色も衰えクピードーの愛も失うのではと不安になり、箱を開けないよう警告されていたにもかかわらず開けてしまう。しかし、中には冥府の眠りが入っていた。 傷の癒えたクピードーは昏倒している妻から冥府の眠りを取り去って箱に集め、ユーピテルにとりなしを頼む。ユーピテルはクピードーが良い女を見つけたら紹介することを条件にとりなしを了承する。ユーピテルはプシューケーに神の酒ネクタールを飲ませ神々の仲間入りをさせた。プシューケーはもう人間でないのだから身分違いの結婚ではないと説明され、ウェヌスもやっと納得した。かくて魂は愛を手に入れ、二人の間にはウォルプタース(「喜び」、「悦楽」の意)という名の子が生まれた。女神となったプシューケーが絵画に描かれるときには、蝶の翅を背中に生やした姿をとる例が多々見られる。
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