ウェイド・デービス (野球)とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > ウェイド・デービス (野球)の意味・解説 

ウェイド・デービス (野球)

(ウェイド・デイビス (野球) から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/01 04:08 UTC 版)

ウェイド・デービス
Wade Davis
コロラド・ロッキーズでの現役時代
(2018年6月3日)
基本情報
国籍 アメリカ合衆国
出身地 フロリダ州ポーク郡レイクウェールズ英語版
生年月日 (1985-09-07) 1985年9月7日(37歳)
身長
体重
6' 5" =約195.6 cm
227 lb =約103 kg
選手情報
投球・打席 右投右打
ポジション 投手
プロ入り 2004年 MLBドラフト3巡目
初出場 2009年9月6日
最終出場 2021年9月11日
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)

ウェイド・アレン・デービスWade Allen Davis, 1985年9月7日 - )は、アメリカ合衆国フロリダ州ポーク郡レイクウェールズ英語版出身の元プロ野球選手投手)。右投右打。愛称はウェダー[1]

親戚に捕手としてシカゴ・カブスアトランタ・ブレーブスでプレーしたジョディ・デービスがいる[2]

ライアン・デンプスターと並んで、カブスの26試合連続セーブ成功の球団記録を持つ[3]

経歴

プロ入りとレイズ時代

2004年MLBドラフト3巡目(全体75位)でタンパベイ・デビルレイズから指名され、プロ入り。

2007年はA+級ベロビーチ・デビルレイズとAA級モンゴメリー・ビスケッツの2球団合計で27試合に登板で10勝3敗、デビルレイズ傘下1位となる防御率2.50を記録し、デビルレイズ傘下の最優秀投手に選出された[4]

2009年9月6日のデトロイト・タイガース戦でメジャーデビュー。デービスは7回を1失点に抑え、勝利投手の権利を持って降板したが、チームは5対3で敗れた。この試合でデービスは球団新記録となるメジャーデビュー戦で9奪三振を記録し、1962年以降では史上3人目となるデビュー戦での先頭打者から4者連続三振を記録した[5]

2010年アンディ・ソナンスタインとの先発投手5番手争いを制し、開幕から先発ローテーション入りを果たした[6]。7月には新人選手最多の4勝を挙げ、ルーキー・オブ・ザ・マンスに選出された[7]。通年では12勝を記録して、新人王の投票では4位に入った。自身初めてとなったポストシーズンでは、ディビジョンシリーズの第4戦で先発し、5回2失点で勝利投手となったが、チームは5試合の末に敗退した。

2011年3月31日にレイズと総額1260万ドルの4年契約[8](2015年・700万ドル、2016年・800万ドル、2017年・1000万ドルの球団オプション付き)を結んだ[9][10]

タンパベイ・レイズでの現役時代
(2012年9月13日)

2012年は、先発からリリーフになったことで速球の威力が増し、前年の奪三振率が5.1から11.1へと倍増した。

ロイヤルズ時代

2012年12月9日にウィル・マイヤーズジェイク・オドリッジマイク・モンゴメリーパトリック・レナード英語版とのトレードで、ジェームズ・シールズ後日発表選手エリオット・ジョンソンと共にカンザスシティ・ロイヤルズへ移籍した[11]

2013年は先発ローテーション4番手だったが不振を極め、8月末にリリーフに配置転換された。リリーフ転向後は7試合(10イニング)で1失点という活躍だった。

2014年セットアッパーとして自己最多の71試合に登板し、防御率1.00という大活躍であり、109奪三振はリリーフ投手としての球団記録を更新した。6月27日から9月15日にかけて33試合連続無失点も記録した。7回のケルビン・ヘレーラ、8回のデービス、9回のグレッグ・ホランドの必勝リレー「HDH」が注目を集めた。クローザーのホランドも防御率1.44、ヘレーラも防御率1.41と大活躍し、史上初となる同一チーム同一シーズンに防御率1.5以下のリリーフ投手(60イニング以上)が3人いるチームができた[12]。チームにとって29年ぶりとなったポストシーズンでも12試合(14.1イニング)に登板して、自責点がわずかに1と、ワールドシリーズ進出に大きく貢献した。オフの11月3日にロイヤルズが700万ドルの球団オプションを行使した[13]

2015年も主にセットアッパーして登板し、6月2日に初めて失点するまで22試合連続無失点を記録した。オールスターに初選出された。以後も好投を続け、69試合に投げて防御率は前年より更に優れた0.94という素晴らしい内容だった。シーズン終盤にクローザーのホランドが怪我で離脱したためその代役を務め、ニューヨーク・メッツとのワールドシリーズでは最後を締め括って日本でいう「胴上げ投手」となる[14]など、30年ぶりのシリーズ優勝に大きく貢献した。ポストシーズン全体では8試合に登板して1勝4セーブ、10.2イニングを投げて無失点、18奪三振の活躍であり、ワールドシリーズではベーブ・ルース賞を受賞した。

2016年も概ね好投を続け、2年連続でオールスターに選出された。7月には右腕の不調で故障者リスト入りした[15]が、シーズン全体では45試合に登板して2勝1敗27セーブ、防御率1.87、(アメリカンリーグ10位)、WHIP1.13と、クローザーの役割を務め上げた。

カブス時代

2016年12月7日にホルヘ・ソレアとのトレードで、シカゴ・カブスへ移籍した[16]

シカゴ・カブスでの現役時代
(2017年7月14日)

2017年はクローザーを任され、オールスターにもカブスから唯一選出された。8月19日のトロント・ブルージェイズ戦でセーブを記録し、ライアン・デンプスターの26試合連続セーブ成功の球団記録に並んだ[3]。最終的には59試合で4勝2敗32セーブ・防御率2.30と新天地でもクローザーの役割を全うした[17]。オフの11月2日にFAとなった[18]。球団はクオリファイング・オファーを提示した[19]が、11月16日に拒否した[20]

ロッキーズ時代

2017年12月29日にコロラド・ロッキーズと3年総額5200万ドルの契約を結んだ[21]。契約には4年目の2021年に1500万ドルの相互選択オプションが含まれているが、2020年に30試合交代完了した場合は選手側のみの選択権に変更となり、双方の合意に至らない場合は100万ドルを受け取ってFAとなる。

2018年は開幕から抑えに配置され、前半戦を終えて27セーブ、防御率3.72の成績を記録した。最終的には球団新記録となる43セーブを記録し、自身初となる最多セーブのタイトルを獲得。防御率4.13の成績を残した。

2019年は50登板で1勝6敗、防御率8.65、15セーブと深刻な不振に陥った。2015年には平均95.9mph(約154km/h)だった球速が、この年は93.2mph(約150km/h)にまで落ち、42.2回で29四球と制球も良いとは言いづらい内容だった[22]

2020年も開幕から精彩を欠き、9月19日にDFAとなり[23]、21日にFAとなった[24]

ロイヤルズ復帰

2021年1月20日に古巣のロイヤルズとマイナー契約を結び、スプリングトレーニングに招待選手として参加することになった[25]。3月28日にメジャー契約を結んでアクティブ・ロースター入りした[26]

2021年シーズンは4月1日のテキサス・レンジャーズとの開幕戦に登板し、ロイヤルズでは2016年9月28日以来のセーブを記録した[27]。オフの11月3日にFAとなり[28]、24日に現役引退を表明した[29]

選手としての特徴

最速99.5mph(約160.1km/h、2015年8月16日計測)、平均球速153km/hのフォーシームツーシーム、平均球速149km/hのカッター、変化球は平均球速132km/hのナックルカーブという4球種で高い奪三振率を誇っていた。

先発投手時代の2011年まではカーブスライダーを持ち球としていたが、それぞれナックルカーブ、カッターに変えている。また、平均球速138km/hのチェンジアップも武器としていたが、2013年を最後に投げなくなった。ちょうど、リリーフ転向期だった2012~2013年頃から成績が飛躍的に伸びている。

詳細情報

年度別投手成績





















































W
H
I
P
2009 TB 6 6 1 1 0 2 2 0 0 .500 150 36.1 33 2 13 1 0 36 1 0 19 15 3.72 1.27
2010 29 29 0 0 0 12 10 0 0 .545 722 168.0 165 24 62 2 5 113 4 0 77 76 4.07 1.35
2011 29 29 1 0 1 11 10 0 0 .524 795 184.0 190 23 63 1 8 105 6 0 96 91 4.45 1.38
2012 54 0 0 0 0 3 0 0 6 1.000 284 70.1 48 5 29 2 0 87 2 0 20 19 2.43 1.10
2013 KC 31 24 0 0 0 8 11 0 0 .421 618 135.1 169 15 58 2 4 114 7 0 89 80 5.32 1.68
2014 71 0 0 0 0 9 2 3 33 .818 279 72.0 38 0 23 0 3 109 1 0 8 8 1.00 0.85
2015 69 0 0 0 0 8 1 17 18 .889 251 67.1 33 3 20 1 0 78 1 0 8 7 0.94 0.79
2016 45 0 0 0 0 2 1 27 0 .667 176 43.1 33 0 16 0 3 47 4 0 9 9 1.87 1.13
2017 CHC 59 0 0 0 0 4 2 32 0 .667 242 58.2 39 6 28 1 3 79 7 0 16 15 2.30 1.14
2018 COL 69 0 0 0 0 3 6 43 0 .333 261 65.1 43 8 26 0 2 78 6 0 31 30 4.13 1.06
2019 50 0 0 0 0 1 6 15 0 .143 206 42.2 51 7 29 0 2 42 1 0 42 41 8.65 1.88
2020 5 0 0 0 0 0 1 2 0 .000 25 4.1 9 3 3 1 0 3 2 0 10 10 20.77 2.77
2021 KC 40 0 0 0 0 0 3 2 2 .000 190 42.2 44 8 19 0 2 38 4 0 33 32 6.75 1.48
MLB:13年 557 88 2 1 1 63 55 141 59 .534 4199 990.1 895 104 389 11 32 929 46 0 458 433 3.94 1.30
  • 各年度の太字はリーグ最高

年度別守備成績



投手(P)












2009 TB 6 5 0 0 0 1.000
2010 29 16 19 2 4 .946
2011 29 11 18 0 4 1.000
2012 54 6 4 1 0 .909
2013 KC 31 12 13 1 2 .962
2014 71 4 3 1 0 .875
2015 69 9 8 1 1 .944
2016 45 1 4 0 0 1.000
2017 CHC 59 2 8 0 0 1.000
2018 COL 69 8 3 0 1 1.000
2019 50 2 3 1 2 .833
2020 5 0 0 0 0 ----
2021 KC 40 2 2 0 0 1.000
MLB 557 78 85 7 14 .959
  • 各年度の太字はリーグ最高

タイトル

表彰

記録

背番号

  • 58(2009年)
  • 40(2010年 - 2012年)
  • 22(2013年)
  • 17(2014年 - 2016年)
  • 71(2017年 - 2021年)

脚注

  1. ^ Andy Call (2017年8月24日). “Explaining Cubs Players Weekend nicknames” (英語). MLB.com. 2018年1月5日閲覧。
  2. ^ 「タンパベイ・レイズ」『2012MLB選手名鑑全30球団コンプリートガイド』 日本スポーツ企画出版社 22頁
  3. ^ a b Carrie Muskat; Gregor Chisholm (2017年8月20日). “Happ leads bats behind Quintana to edge Jays” (英語). MLB.com. 2018年1月8日閲覧。
  4. ^ Bill Chastain (2007年9月26日). “Notes: Longoria considered for '08” (英語). MLB.com. 2016年12月8日閲覧。
  5. ^ Zach Schonbrun (2009年9月6日). “Weary bullpen can't hold it for Davis” (英語). MLB.com. 2018年1月5日閲覧。
  6. ^ Anthony DiComo (2010年3月24日). “Davis secures fifth slot in Rays' rotation” (英語). MLB.com. 2018年1月5日閲覧。
  7. ^ “Wade Davis of the Tampa Bay Rays voted winner of the Gillette presents American League Rookie of the Month Award” (英語) (プレスリリース), (2010年8月4日), http://mlb.mlb.com/news/press_releases/press_release.jsp?ymd=20100804&content_id=13026078&vkey=pr_mlb&fext=.jsp&c_id=mlb 2010年9月20日閲覧。 
  8. ^ 2011年は100万ドル、2012年は150万ドル、2013年は280万ドル、2014年は480万ドル。
  9. ^ “Ray, Davis Agree to Seven-Year Contract” (英語) (プレスリリース), (2011年3月31日), http://tampabay.rays.mlb.com/news/press_releases/press_release.jsp?ymd=20110331&content_id=17222390&vkey=pr_tb&fext=.jsp&c_id=tb 2014年12月23日閲覧。 
  10. ^ Marc Topkin (2011年3月31日). “Rays sign Davis to long-term deal, could be worth $35M over 7 years” (英語). Tampa Bay Times. 2014年12月23日閲覧。
  11. ^ Daniel Seco (2012年12月9日). “Royals To Acquire James Shields, Wade Davis” (英語). MLB Trade Rumors. 2018年1月5日閲覧。
  12. ^ Royals bullpen: 'There's no better weapon'” (英語). USAトゥデイ (2014年10月16日). 2016年3月13日閲覧。
  13. ^ Mark Polishuk (2014年11月3日). “Royals Exercise Wade Davis' 2015 Option” (英語). MLB Trade Rumors. 2018年1月5日閲覧。
  14. ^ 2015 World Series Game 5, Royals at Mets, November 1” (英語). Baseball-Reference.com. 2021年12月15日閲覧。
  15. ^ Closer Wade Davis goes on disabled list after MRI” (英語). ESPN (2016年8月1日). 2016年10月15日閲覧。
  16. ^ Carrie Muskat (2016年12月7日). “Cubs acquire closer Davis from Royals for Soler” (英語). MLB.com. 2018年1月5日閲覧。
  17. ^ MLB公式プロフィール参照。2018年1月5日閲覧。
  18. ^ Key free agents for all 30 MLB teams” (英語). MLB.com (2017年11月5日). 2017年12月27日閲覧。
  19. ^ Carrie Muskat (2017年11月6日). “Cubs make qualifying offers to Arrieta, Davis”. MLB.com. 2018年1月5日閲覧。
  20. ^ Carrie Muskat (2017年11月16日). “Cubs' Arrieta, Davis decline qualifying offer” (英語). MLB.com. 2018年1月5日閲覧。
  21. ^ Thomas Harding (2017年12月29日). “Rockies' pitcher show gets Wade better” (英語). MLB.com. 2017年12月31日閲覧。
  22. ^ 最強リリーフから一転…ロッキーズの年棒(ママ)18億円投手が絶不調。 今季は50登板で防御率8.65”. ベースボールチャンネル. 2019年10月15日閲覧。
  23. ^ Rockies Designate Wade Davis For Assignment” (英語). MLB Trade Rumors. 2020年9月20日閲覧。
  24. ^ Rockies Place Nolan Arenado On IL, Release Wade Davis” (英語). MLB Trade Rumors. 2020年9月21日閲覧。
  25. ^ Royals Sign Wade Davis To Minor League Deal” (英語). MLB Trade Rumors. 2021年1月20日閲覧。
  26. ^ Royals Select Wade Davis' Contract” (英語). MLB Trade Rumors. 2021年3月29日閲覧。
  27. ^ Anne Rogers (2021年4月2日). “Royals reward fans with 'one we won't forget'” (英語). MLB.com. 2021年4月9日閲覧。
  28. ^ 160 Players Become XX(B) Free Agents” (英語). mlbplayers.com (2021年11月3日). 2021年11月5日閲覧。
  29. ^ Wade Davis, 2015 WS champ with KC, retires” (英語). MLB.com (2021年11月24日). 2021年11月24日閲覧。

関連項目

外部リンク




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ウェイド・デービス (野球)」の関連用語

ウェイド・デービス (野球)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ウェイド・デービス (野球)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのウェイド・デービス (野球) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS