インダス・南アジア・インド
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 08:03 UTC 版)
インダス川河畔でインダス文明が興ったのは紀元前2600年頃のことと考えられている。インダス川流域では、毎年6月 - 7月の時期にモンスーンの到来によって雨季が訪れる。雨季の降水はインダス川の氾濫を起こしたが、氾濫原には肥沃な土壌と農耕用水の水源となる湿地が残された。インダス文明期には洪水期前になると川に沿って低い土手が作られた。この土手は洪水を防ぐものではなく、洪水によってもたらされた肥沃な土壌を耕地に貯め込むためのものだった。そのためメソポタミアやエジプトのように灌漑が発達することはなく、氾濫農耕に依存していたと考えられている。インダス文明の農耕は洪水を前提としていたので、水害を防ぐ治水はほとんど行われていなかった。 その後インド亜大陸ではガンジス川流域を中心として灌漑水利の発達が見られたものの、水害を防ぐという意味での治水はほぼ存在してこなかった。インドにおける治水の始まりは、1947年のインド独立以降のことである。1948年に開始したダモーダル河谷総合開発事業がインドの治水の嚆矢であり、その後、1954年のインド大洪水を受けて「全国治水計画」が策定されるに至った。全国治水計画のもとで1万kmを超える堤防が建設されたほか、各州ごとに州治水政策に基づいた治水対策が行われているが、まだ十分な水準に達していないとされている。
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