イメージ周波数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/25 03:16 UTC 版)
「スーパーヘテロダイン受信機」の記事における「イメージ周波数」の解説
スーパーヘテロダイン方式の主な欠点として、イメージ(日本語では「えいぞう」と呼び「影像」の字を宛てる)と呼ばれる問題がある。 原理から考えて、中間周波数 fIFの信号には、上側ヘテロダインであれば、周波数 fcの目的の信号と局発の信号を混合した信号の他に、周波数 fLO+fIFの信号と局発の信号を混合した信号が混じる。 同じように、下側ヘテロダインであれば、周波数 fLO-fIFの信号と局発の信号を混合した信号が混じる。 この混じり込む信号の周波数をイメージ周波数(あるいは影像周波数)、イメージ周波数の信号をイメージ信号と呼ぶ。周波数軸上でみると、局部発振器の周波数 fLOを中心に、受信したい信号とイメージ信号とがそれぞれ中間周波数 fIFだけ離れ、ミラーイメージのような関係になっている。 イメージ周波数にある別の信号を拾ってしまうと干渉して妨害となるので、一般的なスーパーヘテロダイン方式では同調部や高周波増幅部でイメージ周波数の信号を十分に低減しなければならない。 局発周波数と、目的の周波数、中間周波数との関係を整理してまとめると、以下のようになる(イメージ周波数=fimg)。 f i m g = { f c + 2 f I F , if f L O > f c (high side injection) f c − 2 f I F , if f L O < f c (low side injection) {\displaystyle f_{img}={\begin{cases}f_{c}+2f_{IF},&{\mbox{if }}f_{LO}>f_{c}{\mbox{ (high side injection)}}\\f_{c}-2f_{IF},&{\mbox{if }}f_{LO}<f_{c}{\mbox{ (low side injection)}}\end{cases}}} 例えば、中間周波数が455kHzのAMラジオ受信機が1422kHzを受信する場合、通常は上側ヘテロダインが使用されるため局部発振器の周波数は1422+455=1877kHzとなっている。この時、1877+455=2332kHzのイメージ周波数の信号も 455kHzの中間周波数に変換される。この周波数に強い信号やノイズが存在した場合は混信が起こる。現実のラジオ受信機では、目的とする周波数の信号はそのまま通しイメージ信号を十分に減衰させるフィルタを混合器の前に置くことで混信を防いでいる。 また、最近の受信機、例えば、Bluetoothの受信回路ではイメージリジェクション型のミキサが使われるようになってきており、フィルタを置く必要が無くなってきている。このような受信回路では回路構成の工夫により混合器自身がイメージ信号を減衰させる。 受信機がイメージ信号を除去する能力を数値化したものとして、イメージ除去比がある。これは、受信している信号の受信機出力とイメージ周波数での同じ強度の信号の受信機出力との比をデシベルで表現したものであり、値が大きいほどイメージ信号を除去する能力が高くなる。
※この「イメージ周波数」の解説は、「スーパーヘテロダイン受信機」の解説の一部です。
「イメージ周波数」を含む「スーパーヘテロダイン受信機」の記事については、「スーパーヘテロダイン受信機」の概要を参照ください。
- イメージ周波数のページへのリンク