イニ_(第3中間期のファラオ)とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > イニ_(第3中間期のファラオ)の意味・解説 

イニ (第3中間期のファラオ)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/04 14:20 UTC 版)

イニIni、在位:紀元前755? ‐ 750年頃)は古代エジプト第3中間期ファラオ。しばしば第23王朝の王の一人に数えられる。即位名はメンケペルラー、資料によっては第13王朝時代の同名の王と区別してインイとも表記される [1]

概要

おそらくルドアメンの後継者としてテーベを治めたが、それまで上エジプトの大部分を支配下に置いていた第23王朝の王たちとは異なり、テーベの周辺地域のみを支配した地方政権の王だった。したがって研究者によっては第23王朝に含めず、独立した別の勢力の王として扱っている場合もある。

イニの他にも当時の上エジプトにはヘラクレオポリス侯のペフチャウアバステトヘルモポリス侯のニムロト等、ファラオを名乗る多数の諸侯が割拠しており、その内の何名かはルドアメンの死後に第23王朝から領土を引き継いだ後継者だったと考えられている。しかし、具体的にどのような繋がりがあったのかは不明瞭なため、彼らの内どこまでを同じ第23王朝の範疇に含めるかは研究者によって基準や見解が異なっている。 [注釈 1]

エジプトで混沌とした情勢が続く一方で、南方のヌビアでは第25王朝が台頭し、やがてピアンキ王の代に上エジプトに侵出してきた。ピアンキはさらにエジプト全土の平定を大義名分に北上を続け、治世21年目(紀元前750年頃)に第24王朝のテフナクト1世が率いる下エジプトの諸王の連合を破り、ヌビアの宗主権を認めさせた。 この偉業を記念してゲベル・バルカルに建立された『勝利の石碑』には、ピアンキの前にひれ伏し、臣従の意を示す諸王の姿が描かれているものの、その中にイニの名前は無い [2]。 そのためイニは他の王たちに先だってピアンキの治世20年目以前のいずれかの時点でヌビアに降伏していたと思われる。但し、ピアンキは降伏した他の王の所領を安堵し、継続して統治させているため、イニもヌビアの家臣として権力を保持した事が考えられる。[3]

脚注

注釈

  1. ^ 例えばニムロトが完全な別勢力として扱われる場合が多い一方、ペフチャウアバステトやレオントポリスのイウプトらはしばしば同じ王朝内に含まれている

出典

  1. ^ ドドソン, ヒルトン 2012, p.224
  2. ^ クレイトン1998 p.242 – p.245
  3. ^ Kitchen, Kenneth A. (1996). The Third Intermediate Period in Egypt (c. 1100–650 BC) (3rd ed.). Warminster: Aris & Phillips Limited. p. 137 

参考文献

先代
ルドアメン
古代エジプト王
紀元前755? ‐750年頃?
次代
ピアンキ

「イニ (第3中間期のファラオ)」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「イニ_(第3中間期のファラオ)」の関連用語

イニ_(第3中間期のファラオ)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



イニ_(第3中間期のファラオ)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのイニ (第3中間期のファラオ) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS