イデアル論を使った解釈
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 08:27 UTC 版)
記号は今までと同じとする。クンマーが定義した環準同型Z[η, η1, ..., ηe − 1] → Fq の核を𝖖とする。これは剰余環が整域(更に強く体)なので素イデアルである。これを延長したイデアル𝖖Z[α]もZ[α]の素イデアルである(後述)。円分整数f (α)がこの素イデアルに含まれることと「置換 η = ur に属する q の理想素因子を含む」ことは同値である。このことは次のように状況を整理すれば判明する。 代数体 Q(α) は円分体であり、有理数体 Q の λ − 1 次の巡回拡大である。Q(η) は Q(α) の部分体で、Q 上の拡大次数は e である。これは η の共役が ηj 達でこれらが互いに相異なることから分かる。 Q(α) の整数環は Z[α] である。また、Q(η) の整数環は Z[η, η1, ..., ηe − 1] である。さらに強く、η, η1, ..., ηe − 1 は整基底である。 素数 q は λ と異なる素数なので、拡大 Q(α)/Q での q の分岐指数は 1、剰余次数は f である。よってガロア拡大における素イデアルの分解理論から、q は拡大 Q(α)/Q において (λ − 1)/f = e 個の素イデアルに分解する。 また、q の分解体は Q(η) である。これは分解体の Q 上の拡大次数が Q(η) と同じく e であることと Q(α)/Q が巡回拡大であることから分かる。したがって Q(η)/Q においても q は e 個の素イデアルに分解する。 𝖖 は剰余体の標数が q なので、この e 個の素イデアルのうちの一つである。 Q(η) が q の分解体なので、𝖖 は拡大 Q(α)/Q(η) で分解せず、剰余体の拡大のみ起きる。したがって 𝖖Z[α] は Z[α] の素イデアルである。 有限体 Z[α]/𝖖Z[α] は有限体 Z[η, η1, ..., ηe − 1]/𝖖 ≅ Fq の f 次拡大である。また α0, α1, ... , αf − 1 の剰余類がその基底である。 したがって、f (α) = ∑ f − 1j = 0 αjφj(η) が mod 𝖖Z[α] で 0 になることと、すべての φj(η) が mod 𝖖 で 0 になることは同値である。また、φj(η) の mod 𝖖 での剰余類は φj(ur) の mod q での剰余類と自然に同一視できる。 以上から、円分整数 f (α) が素イデアル 𝖖Z[α] に含まれることと「置換 η = ur に属する q の理想素因子を含む」ことは同値である。 象徴的に言えば、「理想素因子を含む」の定義はイデアル論での「素イデアルを含む」の定義と完全に一致している、ということになる。
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