イズン掠奪
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/05/25 01:14 UTC 版)
『スノッリのエッダ』第二部『詩語法』で、彼がアース神族の女神の一柱イズンを、神々に永遠の若さをもたらすリンゴもろとも略奪する経緯が紹介されている。ノルウェーのスカルド詩人フヴィーンのショーゾールヴル(en)の詩『長き秋』の題材にもなった。 旅行中のオーディン、ヘーニル、ロキが、昼食をとるため牛を捕らえて蒸し焼きにしようとしたが、なぜか肉が焼けなかった。近くの木に大きな鷲が留まっており、これが魔法をかけていたためだった。そこで、肉を分けるから魔法を解くように言うと、鷲は承諾し、たちまち肉が焼けた。しかしその肉の中で最も良い部分を鷲がすかさず奪い取ってしまう。ロキが木の棒を振り回し、鷲に当たったところ、木の棒は鷲の体にくっついてしまい、手から棒が離れなくなったロキは鷲とともに上空へ持ち上げられた。鷲はロキの体が木々に叩きつけられる高さで飛行し、ロキに「助けてほしければ、イズンにリンゴを持って来させろ」と言い、ロキはやむを得ず承諾する。この鷲は巨人スィアチの変身した姿であった。 ロキは「永遠の若さをもたらすリンゴによく似たリンゴを見つけた。あなたのリンゴと見比べてみないか」などと言って、リンゴを持たせたイズンをアースガルズの外へ連れ出す。鷲に変身したスィアチが素早く彼女をさらってしまった。リンゴを食べられなくなった神々はたちまち老い始めた。 調査の結果ロキの関与が判明し、イズンの奪還を命じられた。ロキはフレイヤの持つ鷹の衣をまとって鷹に変身して、スィアチの館スリュムヘイムへ潜入しイズンを見つけると素早く呪文を唱え、彼女を一個の木の実に変えてしまい、足に握って持ち去った。すぐにスィアチが羽衣をまとって鷲に変身し、追いかけてきた。こちらへ向かってくる2羽の鳥を見つけた神々は、アースガルズの外に大量のかんな屑を置いた。そしてロキの鷹がアースガルズの砦の内側に下りると鉋屑に火を着けた。スィアチの鷲はロキを見失ったものの止まることができず、羽毛に火が移り落下した。神々はアースガルズの門の内側でスィアチを殺害したという。
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