イオン電導性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/19 01:18 UTC 版)
イオン電導性ポリマーはイオンを電子の担体(キャリヤー)とする導電性ポリマーである。その種類の一つは、ポリエーテルやポリエチレンオキシド(PEO)などの固体電解質である。もう一つは、水や有機分子などの低分子溶媒を吸着した、あるいはこれによって可塑化されたイオン性ポリマーである。後者には、水を十分に吸着したプロトン伝導性イオン交換膜が含まれる。 固体電解質ポリマーにおいて、イオンキャリヤーの移動は高分子の緩和現象と協同的に、あるいは類似の時間尺で起こる。この協同性は、イオンと高分子との間のイオン-双極子相互作用が原因と考えられている。イオンは高分子によって強く溶媒和され、高分子に保持されたまま高分子の局所運動によって移動する。したがって、ポリマー中を移動するイオンの大きさは、裸のイオン半径に相関するというより、局所運動のセグメントの大きさに相当する。また、イオンが長距離を移動するためには高分子との間の溶媒和、および脱溶媒和過程が必要である。 固体電解質ポリマーの導電率は温度や圧力に依存し、その依存性は主にイオンの移動度の変化に起因する。ただし、伝導率変化は移動度変化というよりも、イオン会合(英語版)の進行度変化とされる。固体電解質ポリマーのイオンの濃度は濃厚溶液ほどに高いためである。ポリマー中におけるゴム状態の無定形相がイオン電導を担うポリマーでは、伝導率の温度依存性は下式で表される。 σ = ( A / T 0.5 exp − B / ( T − T K ) {\displaystyle \sigma =(A/T^{0.5}\exp {-B/(T-T_{K})}} ここで、AとBは定数、Tは温度である。TKはカウツマン温度(英語版)であり、一般的には T K = T g − 50 K {\displaystyle T_{K}=T_{g}-50K} 程度である。 伝導率はまたポリマーの電解質濃度にも依存し、一定温度下では伝導率は電解質濃度に対して極大を示す。
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