アーク送信機
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/22 05:54 UTC 版)
1892年にジョージ・フィッツジェラルドは共振回路の減衰抵抗をゼロまたは負にすれば連続的な発振を起こせることに初めて気づいた。同年、エリフ・トムソンはLC回路をアーク電極に接続して負性抵抗発振器を作成した。おそらくこれが最初に作られた電子発振器である。ロンドン中央工科大学でウィリアム・エアトンの学生だったウィリアム・ダッデルはトムソンのアーク発振器に一般の関心を向けさせた。アークを流れる電流は負性抵抗のため不安定であり、そのためアーク灯はヒス音やハム音、さらにはハウリング音を立てるのが常だったが、この効果を研究していたダッデルは1899年にアークの両端にLC回路を接続し、負性抵抗により発振を起こして楽音を発生させてみせたのである。この発明のデモンストレーションでは複数の同調回路がアークにつながれて楽曲を演奏した。ダッデルの「シンギング・アーク」発振器は可聴周波数でしか動作しなかったが、1903年にデンマーク人のエンジニア、ヴォルデマール・ポールセンとP・O・ペダーソンが水素雰囲気中で磁場をかけた状態でアークを起こすことで周波数範囲をラジオ波にまで拡大してポールセン・アーク無線送信機(英語版)を発明した。この装置は1920年代まで広く使用されていた。
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